▼リヴァエレ

□探し物は日溜まりの中に
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リヴァイ兵長がいない。

どこを探しても見つからない。


急な用事も特にないが、なんだか無性に会いたくなってしまったのだ。
だがそんな日に限ってその人は自分の前から姿を消してしまうのだ。

部屋にはいない。馬もいるから出掛けている、ということは考えにくい。

まあいつもの休憩時間、もといティータイムには必ず戻ってくるから待っていればいいだけの話なのだが。


いつもなら諦めてしまうが、今日こそは絶対に見つけだしてみせる!



「…あ、グンタさん!」

「なんだエレン、ちゃんと掃除しないとまた兵長にどやされるぞ」

「その兵長が見つからないんですけど…どこにいるか知ってますか?」



一瞬、グンタが眉を寄せた。
そして何故か忙しなく視線をあちこちに向けてエレンのことを見ようとしなくなった。


「し、知らないな!便所じゃないのかっ?」

「えー…そうですかね」

「それより早く自分の持ち場につけ、ホラ!」

「あぁっ、ちょっとグンタさん!」



背中を押されて帰るように促された。

あの人、絶対なにか知ってる。

エレンはそう確信した。
だが今また言ってもろくに話を聞いてはもらえないだろう。


他の人たちに聞くことにした。

…のはいいが、エルドもオルオも同じような反応しか見せなかった。

オルオについては意味も解らず怒られた。
舌を噛んでしまえばいいのに、と心の中で願い続けたのは秘密だ。


こうなれば最後の望み、ペトラを頼るほかない。



「ペトラさあぁぁぁん!」

「え、エレンっ!?どうしたのそんなに急いで…」

「あのっ!兵長、どこにいるか解りますかっ!?」

「リヴァイ兵長?…さあ、ちょっと解んないかな」



やっぱりか。
何故みんな隠したがるのだろう?

それに、みんなは兵長の居場所を知っている風だった。

解ってないのは、俺、だけ?


―――…仲間外れ…か…。



「そう、ですか……」

「…その様子じゃ、みんなにも同じこと言われちゃったみたいね」

「はい。誰も教えてくれなくて…」



エレンは表情を曇らせて俯いてしまった。

俺だけ仲間外れなんて、そりゃ流石に哀しくもなるさ。


少し間をおいてエレン、と声がかけられたので顔を上げてみると、ペトラが穏やかな表情でエレンをじっと見つめていた。
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