▼リヴァエレ

□探し物は日溜まりの中に
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「エレンはなんでそんなに兵長を探してるの?なにか用事があるの?」

「特に理由とかは…。ただ、
会いたくなったというか…顔が見たくて」



そうだ。会いたいんだ。
会いたくて、恋しくて、堪らない。
それなのに誰も居場所を教えてくれない、しかも自分だけが知らないというこのもどかしい状況はさらにエレンの気持ちを沈ませた。

すると、突然ペトラがクスクスと笑い出した。



「え、えっ?ペトラさんどうしたんですか」

「フフッ、ごめんごめん。エレンってホントに、リヴァイ兵長のことがすきなのね」



すき、という言葉を聞いてエレンは顔を朱に染めた。

否定はしない。だって本当に兵長がすきなのだから。



「いいわ、教えてあげる!ただし、わたしが教えたこと、オルオたちには内緒だからね」

「はっ、はい!ありがとうございます!しかし何故内緒なんですか?」

「きっと後で解るから」



なんだか釈然としないが、教えてもらうからには約束を破るわけにはいかない。

エレンは意志を固くし、頭を縦に振った。



―――



「こんなとこに、兵長がいるのかよ…っ」



教えられた場所は、旧本部の建物の裏にある茂みの奥。

背が高い草が好き放題に伸び、じめじめしていて薄暗い。
潔癖症のリヴァイが近づくのを嫌うような場所だ。
いや、逆に綺麗にしてやろうとこの生い茂る雑草共に果敢に立ち向かうだろう。

それを放置し、あろうことかその向こうにいるということは…
エレンには、奥から駆逐してやろうと切磋琢磨しているリヴァイの姿しか浮かんでこなかった。



「へいちょ〜?どこですか〜?」



エレンは小声でリヴァイを呼んだ。
何故小声かと言うと、ペトラに決して大声を出すなと言いつけられたからだ。

なんでだろう。熊でも出るのかな?


疑問符を頭の上に浮かばせていると、次第に視界が開け、柔らかな陽光が目に入ってきた。


そこには、まるで秘境といっても過言ではない、御伽噺に出てくるような湖があった。

思わず感嘆の声が漏れてしまう。



「す、すげえ……こんなとこがあったんだ。知らなかったな…」



水は清く澄み、ゆらゆらと揺れる水面には数多の光の粒が撒き散らされ、キラキラと輝いている。
穏やかに吹く風と暖かい陽の光が眠気を誘う。
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