▼リヴァエレ
□愛に濡れた鴛鴦は空を仰ぐ
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朝ご飯、とは言い難い時間。リヴァイ手作りのサンドをもっさもっさと口に頬張る。
幸せだなあ、と心中で呟いて添えられたコーンスープにも手をつける。リヴァイのつくるコーンスープはエレンの好物なのだ。トロトロして、コーンの粒があまり入っていない、愛の籠もったスープ。
身体の芯から温まるこの感じが堪らなくすきだ。
サンドイッチとスープを綺麗に平らげ、律儀に身体の前で手を合わせごちそうさまでした、と呟いた。
それとほぼ同時。廊下からリヴァイがひょっこり顔を出してきた。
「俺が洗うから、そこ置いとけ」
「いいですよこのくらい自分で…って、リヴァイさん!」
「ん?」
「ん?じゃないです、なにやってんですか!?」
「なにってお前……」
洗濯?と小首を傾げるリヴァイの腕の中にホールドされているあれは、紛れもなく昨日の使用済み衣服やらが詰め込まれた洗濯籠。しかもシーツ入り。
彼は休日、必ず掃除をするのだ。それは彼の日課でもあり楽しみでもある。それを解っているからエレンはそれに口を出さない。きっと食事を取っていた自分に気を利かせて、いつもリビングからやるものを寝室から始めたのも、彼なりの優しさだ。
だから頭に三角巾を巻いて掃除をしているリヴァイになんら抵抗はない。
が、今彼が持っているそれは全くの管轄外なわけで、それと同時にエレンの仕事なのだ。
素早く立ち上がるとリヴァイのもとへ駆けていき、強引に籠を奪った。
「なにすんだ」
「ダメです!折角の休日なのに!洗濯は俺がやります皿洗いも俺の仕事ですっ!」
「俺の休日だ、なにに時間を浪費しようが俺の勝手だろーが」
「ダメったらダメ!もう、こっち来てください!」
掃除をすることは構わない。構わないが貴重な休日を家事なんかに使って欲しくない。ゆっくり身体を休めて、穏やかな時間を過ごして欲しいのだ。