▼トレジャー2

□誰よりも大切な貴方
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――12月24日の夜。

エレンはリヴァイの部屋に押し掛けていた。
日が変わり一番に、リヴァイの誕生日を祝う為に。

リヴァイは酒を片手に
昼間の殺伐とした雰囲気はなく
まったりと...二人で時間を過ごしていた。




「ねぇ兵長、子供の頃って...」

「...ガキの頃?」

「誕生日とクリスマスのプレゼントはやっぱり一緒でした?」

「ぁあ?...んなの記憶にねぇな」

「記憶にないって、ちょっとぐらいは..」

「.....。
家庭が家庭だったからな
祝ってもらった事、況してプレゼントなんて記憶にねぇよ」


リヴァイのその言葉を聞き
真顔で固まってしまうエレンに
苦笑いを見せ、テーブルの上の酒をリヴァイは一気に飲み干した。


「...親の温もりも、甘えた記憶も俺にはねぇ...
気付けば...独りだった...」

「....
兵長、大丈夫です!」

「あ?」

「兵長の誕生日には俺が祝って、クリスマスには俺がサンタさんになります!
これからは全部、俺が一緒に過ごしますから、
俺に甘えて下さい!!」


真剣なエレンに
リヴァイは柔らかな表情になり、小さく息を吐いた。

「...バカ、年下に甘えられるか..
それに俺はもう、祝ってもらってプレゼントなんて歳じゃねぇよ」

「いいんですよ!
兵長はもうおじさんかもしれないですけど、そんなの関係ないです!」

「....
おい...今さらっと聞き捨てならねぇ事を言わなかったか?」

「えっ?いえ、気の所為ですよっ
それより兵長...、」


エレンはリヴァイの前に立つと
ふわり...優しくリヴァイの頭を抱える様に抱き締めた。


「俺は兵長より随分年下ですけど..
こうやって兵長を包む為の腕は持ってます」

「...エレン...」

「俺が兵長に温もりをあげます
それと...もっともっと俺に甘えて下さいね」

「...ガキが偉そうに言いやがって...
だが...お前の腕は誰よりも温かいな...」


リヴァイはエレンの背中に腕を回すとしがみつく様に。
エレンはその縋る様に絡む腕を丸で受け止める、かの様に
リヴァイを抱き締める腕に力を込めた。
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