the Atnement

□罪の始まり#2
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遠くから、彼を見つめることが好きだった。
彼はいつも渦の真ん中にいて、私はそこに近づけない。
いや、彼自身がその渦を作り出しているのかも知れなかった。
彼が通るとその周りをたくさんの人が取り囲む。
皆が彼に触れようと必死で…
その渦の中に巻き込まれていく人は皆派手だった。
美しさを武器にするものや、賢さや華やかさを武器にするものもいる。
私はそのどれも持っていなかった。
美しく気高く賢い彼に比べてみたら、私は地味で平凡で何の取り柄もない。
だから遠くからそっと見ているだけで良かったはずなのに…
人間というのはどうして欲深いんだろう。

私はいつからか彼に…
シリウス・ブラックに触れてみたいと思うようになってしまった。



「ジェニーってば、昨日シリウスとシたんだって!」

よく陽に当たるオレンジ色の談話室で、女生徒たちの会話が耳に入った。
「シリウス」という単語に思わず体が反応する。
顔を向けてみれば、そこにいたのは我がハッフルパフ寮一のマドンナだった。
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