「シリウス、君はミリオンヒットという言葉を知っているかい?」
今日のリーマスはやけに機嫌が悪い。
言葉の節々にトゲを感じながらも、シリウスは何度か頷いた。
「本当にその意味を、理解しているんだろうね」
「なんなんだよ、おまえ。なんか黒いぞ」
傷跡の残る顔で凄まれると、妙に迫力はがある。
シリウスは微かに寒気を感じながらも、リーマスを睨み付けた。
「CDなら一万枚売れたということだし、本ならかなりのベストセラーだよ」
「…何が言いたいんだよ」
リーマスの背後から漂う真っ黒なオーラを感じ、シリウスは子犬のように鼻を鳴らした。
一体彼に何があったというのだろうか。
今日のリーマスは、いつにも増して一段と黒い。
「ここのサイトがミリオンヒットを記録したそうだよ。しかも随分前にね」
「……そ…そうなのか」
リーマスの怒りの原因が、今やっと垣間見えた気がする。
「…お礼を言うのが遅いんじゃないかい?みんな君に会いに来てくれてるんだ。君の嫌な態度を見ても嫌いにならず、3回も読み直してくれた人までいるらしい」
「…お…おう」
リーマスの静かな迫力に圧倒され、シリウスは返事をするのがやっとだった。
まるで呪いをかけられたかのように、体が動かない。
「………………」
「やめろ、無言で睨むな」
冷たい目で刺すように見つめられ、シリウスは唸った。
「俺は会いに来てくれなんて一言も言ってない。第一作者は駄文ばかりで文才もない。それなのに俺のことが好きだなんて、物好きってやつだろう」
シリウスのこの言葉に、さすがのリーマスも杖を握り締めた。
それを見たシリウスは、ヒッと短く喉を鳴らす。
「素直じゃない黒犬には、躾が必要かもしれないね」
「わかった!やめろ!つーかおまえもイヌ科だろうが!」
二人の争い、もといリーマスの説教は朝まで続きましたとさ。
「皆さん本当に、俺に会いに来てくれてアリガトウゴザイマス」
「…心こもってないよね?」
「……ありがとう…ございます」
勝敗は、火を見るよりも明らかだった。
皆様、本当にありがとうございます!
お礼が遅くなって申し訳ありません(;_;)
これからもFortuna Majorをよろしくお願いいたします★