dream

□お手紙。
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「何してるのー?」

「お手紙書いてるの」

「誰に?」

「ないしょ」










お風呂から上がってさっぱりした気分でリビングに行けば、ちーちゃんが誰かにお手紙を書いていた。

ちーちゃんの職業柄たくさんのお手紙はもらうけど書く姿は見たことがない。






非常に気になる。

でも大人気ないから変な探りは入れない。










あれから数時間後、
ちーちゃんは規則正しい寝息を立ててすやすや眠っている。

私はお手紙が誰宛てなのか気になって気になって仕方がない。

もしかしたら知り合いにかもしれないし、共演者の方かもしれない。

はたまた...。






変な考えを頭から払い除けようとするけど、やっぱりどうしても気になる。










「ちーちゃんごめんね」






寝ているちーちゃんに謝って寝室を出る。

明日の用意を完璧に済ませてあるちーちゃんの鞄に手を伸ばす。

リビングの電気を付けてしまうとちーちゃんが起きるかもしれないから、暗闇の中で手探り。

出てくるのは財布やら定期やらタオルやら。

肝心のお手紙が出てこない。















「何してるの?」

「うわ!!!!」



いきなりリビングが明るくなり、後ろから声をかけられる。



「あの、これは、違うの!」

「探してるのはこれ?」






ちーちゃんの手には探しても探しても出てこなかったあのお手紙。

すっごく可愛いデザインで、貰う人が羨ましい。









「もー、サプライズしようと思ったのにー!!」

「サプライズ?誰に?」

「 茜に!!ポストを開けたらあたしからのお手紙が入ってるっていうシチュエーションにしようとおもったのにー」

「私宛てだったの!?」

「当たり前じゃん!誕生日でしょ?」

「誕生日...」



大人になってから誕生日なんて年老いるだけだから祝ってこなかった。

ちーちゃんと巡り合った時には誕生日なんかとっくに過ぎてて。

行きつけのメガネ屋さんからのバースデーカードが毎年送られてくるだけだったし。






「もうサプライズじゃなくなったし日付も変わったから、今読むね」

「ほんとに!ありがとう!!」



誰かに祝ってもらえることが嬉しくて、しかもそれは愛しい人で。

舞い上がり過ぎてお手紙の内容が頭に入ってこなかった。










「お誕生日おめでとう!!」

「あああ、ありがとう!!!!」



私は今、誰よりも幸せです!!!!
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