嫌われ魔女と魔物の少年

□また会いましょう
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連れ帰ったのはいいけど、あの場面が誰かに見られていないか不安になった。
少年を誘拐して実験に使うつもりだのなんだのと噂を立てられると少し以上に厄介だ。

シグはベッドの中ですやすやと寝息を立てて眠っている。

(まぁ、いいか。)

私は昼食の準備で鍋に水を入れようとした瞬間ーー


「ん……ここどこ?」

シグは家の中をキョロキョロ見渡している。

「私の家。シグ、あそこで寝ちゃったんだよ。」

「……なんで、僕エノリアの家にいるの」

「そりゃ私がシグを運んだから。」

「ふーん、ありがとう」


お礼を言われたのは5年ぶりだ。

「昼食、食べてく?」

「うん」

会って間も無い?人?と食事とはいかがな物かと思うが…
シグがほんわかしすぎているのか、どうも警戒していてもすぐに警戒心は解れてしまう。不思議な少年だ。

安心する、というか。

ベッドに座っていたシグは今まで誰も座っていなかった席に腰掛けた。
家族が増えた感覚だ。


「シグ、パスタ食べれる?」

「うん」

「じゃあちょっと待ってて」

茶箪笥からお皿を二枚、フォークを二本取り出しテーブルに置く。
お皿は普段からほこりを被らないよう洗っておいてるから清潔のままだ。

「ねぇ、シグ。左手と左目、どうしたの?」

「しらない。いつのまにか、こうなってた」

「そう…」

少し疑問に思ったことを聞いてみた。
だけどいつの間にかというのは…?
不思議な反面、どこか足りない気がする。
半分、と言った方がいいのだろうか。

パスタの茹で加減も丁度いい。
茹であげのパスタをざるに移す。


「ねぇ、エノリアって何歳?」

「15歳」

「年上かー」

「シグは?」

「多分年下」

細かい年齢はわからないけど多分13,4歳ぐらいだと思う。
見た目的に。

パスタソースを作り終え、ざるに移したパスタを皿に盛り付ける。
パスタソースをその上にかければ完成。

「できたよ」

「ん」

私はいつもの席に腰掛け、両手を合わせていただきますと言った。続いてシグも両手を合わせいただきます、と言った。
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