SECOND TIMES

□石田雨竜
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「………さん!」

「旭さん!」
『……ぁ、石田さん。はろはろ』
「はぁ、起きないかと思ったよ」

目を開けると石田さんの顔のアップ

『……あの、近いんですが』
「あ!ああ、すまない」

直ぐに引いてくれた

んー!背伸びを一つ。あれ?

『一護は?』
「アイツならここにはいない」
『……私をおいていきやがって』

そもそも一緒に帰ろうって言ってきたのはあっちだろ。無責任な奴め。と思っていると

ガァァアア!

聞き覚えのある、人のような獣のような叫び声。

『……(ホロウ)…』

空が裂け、そこから白い仮面がぬっと出て来てこちらに向かってくる

それも、一体じゃない。三体。

それにここだけじゃないらしい。

辺りを探ると、あちこちに虚が出現している様だ。
時々、虚の反応が消えるのはここにいない一護が働いているからだろう。それならここに居ない理由も納得。

『……どーゆー状況』
「…やはり君は相当な霊力を持っている様だね」
『は?』

石田さんの手に光る弓矢が現れ、構える。そして矢を虚向けて放った。

ガァ!

見事命中し、全ての虚が消滅していく

『えと、何それ?』
弧雀(こじゃく)と言って、大気中に偏在する霊子を押し固めて形成したものさ」
『へ、へぇ』

だめだ。よく分からん。
石田さんはその弧雀という光の弓矢を消し、私に向く。

「僕は君に聞きたいことがある」
『?なんですか?』
「さっきも言ったけど、旭さんは相当な霊力を持っているらしい。霊絡を掴めていたし、今現れている虚も把握できるみたいだ」
『そーみたいですねぇ…えと、それで?』
「なのに。君自身からは一切霊力を感じないんだ」

あ、こんなこと前にルキアさんからも言われたな。どっかに置いてきてしまったみたいだとかなんとか…。

『それなんですけど、自分でもよく分からんのよねー。そもそも虚が見えるようになったのも最近だし。霊はもとから見えてたけど』
「つまり、旭さんもよく分からないと」
『イエス』

ギャィア また、虚が現れる。にしても

『ほんと…凄いなこの数』

虚自体織姫の一件以来見ていないというのに…いきなり、多すぎない?虚の逆襲?

「旭さん!伏せて!!」
『っ!』

弓矢をいきなり向けられて反射的にしゃがむと、後ろで呻き声。

振り向くと虚が消滅したようだ。微かに残った霊子も消えていく。

『…いやーあぶなっ』

考え事もよそ見してる暇もないじゃないか。

前の石田さんを見ると少し疲れている様だ。まぁこんなたくさんの虚を相手にしてちゃ無理もない。

「怪我は、無さそうだね」
『っあ!』

石田さんの後ろに白が見える。危ないと言う暇がなく、咄嗟に身体を動かす。
だが少し距離がある。石田さんも今気づいたようだが、遅い。

『間に合っ』

くそっ!何か…!

"破道の……"

え……

あの声と共に、頭に知らない単語が入り込む

「旭さん!!」
『…破道の三十一、赤火砲(しゃっかほう)

目の前を赤い炎が覆う。そして、炎が消えると既に虚は消滅していた。

「……今、のは…!それより!旭さん大丈」
『あれ…?虚は…なんでいきなり消えたんだ…あ、石田さんが何かやったの?』
「…え。今君が…覚えてないのか」

石田さんが驚いている。私は石田さんのその反応に眉を寄せる。

『覚えてないって…いきなり火が舞って…』
「…君は何者なんだい」

石田さんが今までとは違う目で私を見る。少しだけ冷たい冷めた目。それでいて動揺している。

何者…って言われても。そーいや、前にも浦原さんが覚える覚えてないを言ってた気がする。ルキアさんのことといいなんといい…私知らないことばっかだな。

あー。なんて答えようか悩む。

「……とりあえず旭さんの事はこれが終わったらまた詳しく話そう」
『ん。それがいいと思う。……こっち』
「え?」
『虚。誰か襲われて…いや戦ってる……一護じゃない…ルキアさんだ!早く!』
「…………」

石田さんは止まったまま。ちょ、なにしてんの?

『石田さん?』
「ああ。行こう」

しかし、直ぐに何事もなかったかのように歩き出す

「本当に君は………」

石田さんの呟きは聞こえなかった

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