鬼と小鬼

□とある真選組事情
1ページ/5ページ





ドカァァァン 爆発音が響く

『……………』

目を覚ます私

部屋の中はパラパラと土煙がまっていた

「おはようございやす至恩さん」

笑顔で顔を出すのは真選組一番隊隊長沖田総悟

『…沖田隊長。今日こそ一度そこになおってください一回殴りますから』
「捕まえられたらな」

このガキがぁ!

リアル鬼ごっこが始まった


ダダダ…

ダダダ…

「うるせェェ!!」

副長の声が屯所に響いた














『というわけで副長助けてください』

最近朝はずっとこんな調子なのだ

沖田隊長のバズーカを目覚ましがわりにし、朝のジョギング(リアル鬼ごっこ)、それから副長のお話(説教)

それもこれも、沖田隊長のせいである

ただでさえ、医療隊長として資料やら薬品やらの整理で日々寝不足だというのに…
最近は全然睡眠が確保出来ていない。

「説教中に助けをこうとはいい度胸だな。あと1時間正座な」
『沖田隊長ったら私に何の恨みがあるんでしょうか?』
「俺の言葉を無視すんじゃねェ。よし、もう1時間追加だ」
『副長!真面目に困ってるんですって』

真剣に言う

「…………んで、総悟が最近お前に突っかかってくると」

やっと真面目に聞いてくれるらしい

『です。…私何かしましたっけ?沖田隊長がSなのは分かってますけど…私Mじゃありませんし』
「あいつはSをMに変えたい派だ。心当たりとかねーのかよ」
『……………』

考える

と言うか、沖田隊長と話したのはついこないだだから…確か電話で

『あ…ありました』

私の言葉に副長は振り向く

『確か電話で"土方さんが捕まって、泣いて助けを求めてきたらどーしやす?"って聞かれました』
「どんなこと聞かれてんだよ!…で、テメーはなんて答えたんだ」
『動画とってアップですかね、っていいました』

チャキ

首に刀があてられる

「よーし、至恩。前言撤回しろ、今なら間に合う」
『副長。そんな大きなおめめで見ないで下さいよ。照れちゃいます』
「恥じらってねェくせになに言ってやがる」
「ほんと、至恩さんはなにやっても表情が変わりやせんよねィ」
「ああその通り…って!総悟!!テメー朝の鍛練はどーした!?」

いつの間にか沖田隊長が後ろに立っていた

「至恩さんだけサボりなんてずるいでさァ」
『なら沖田隊長もサボります?』
「…テメーら誰の前でサボろうと思ってんだ!」

副長の皺が深い

「でも土方さん。至恩さんを特別扱いしてんのはほんとでしょう?」

沖田隊長が若干にやついてる

「んな訳あるか。…至恩は医療隊長だからそんなに鍛える必要はねェんだよ。それに…こいつの実力は俺が認めてる」

副長が私をまっすぐ見る

「ふーん…。土方さんが認めるほどの実力…。至恩さん、一つ提案がありまさァ」

沖田隊長が素敵な笑顔でこちらを向く

『なんでしょう』
「至恩さん。たまに風呂場や寝床を襲いに来る男らがいやすよね?」
『ええ。…でもなんで沖田隊長が知ってるんです?』

私は真選組唯一の女

男である隊士達が至恩に手を出そうとするのは、自然であった。

だが、実際に手を出してきたやつは居ない。だからこそ副長にも言ってないのだが…

「そうだったのか…?」

副長が、知らなかったと、なんで言わなかったが混ざった顔をする。

『はい。手は出されて居ないですし、つけられても撒いてましたから』

それでも副長は納得のいってない様子

「ソイツらに至恩さんの力を見せるんでさァ。そうすれば至恩さんの被害は減り、俺は実力を見ることができやす」

良い考えでしょう?と沖田隊長は言う

確かに…警戒して着替えたりしてるから正直疲れている

徹夜の疲れがなかなか抜けないのもこれにある

『そうですね、私は賛成です。でも私の力なんてどうやって…』
「俺にとっておきの方法がありやす」

沖田隊長はにやりと笑った

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ