SECOND TIMES 番外編
□初夏の日
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ふぅ……
『美味しいね』
「うん。美味しい」
ほんと、お団子って美味しい。
え?鬼ごっこ。そんなめんどくさいこと真面目にするわけないだろう?それに、部下の霊圧は直ぐに分かるし、日が落ちるまで逃げ切れるのは簡単。
で、結局甘いものが食べたくなったのでひよ里ちゃんと甘味処へ来ている。
「しーな。うちまだ日が落ちるまで逃げてへんけど、団子いいの?」
『いいよ団子くらい。どっちにしろひよ里ちゃんとお団子食べたかっただけだし』
「しーな…!」
ひよ里ちゃんがキラッキラしたお目目でこちらを見る。うん、可愛い。安定の可愛さだ。私多分、妹とかいたら徹底的に甘やかすタイプなんだろうな。
「あ!しーなちゃんたち!」
そう言いながら来るのは久南白さん。
「白、お前何やってん?」
「何って……何だろう」
ひよ里ちゃんの問に首を傾げる久南さん。おいおい、分からないのかよ。
「どーせ拳西らへんから逃げてるんやろ」
「あ!!それだ!なんで分かったの!?」
「隣で同じようなのがいるからな」
『同じようなとは失礼な』
毒つくひよ里ちゃんもなかなか悪くない。いつもの可愛さとのギャップがいいよね。
「え!もしかしてしーなちゃんも拳西から逃げてるの?」
『どーしてそうなる。私は六車隊長ではなく書類から逃げてます』
「書類?」
『仕事です』
「ああ!仕事ねー!仕事やだよねー」
『ですよねー』
「そーやなー」
と、流れに乗ってきたので久南さんにもお団子をあげる。
「え!いーの!?」
『どーせなら一緒に食べましょう』
久南さんは嬉しそうに席に座り、団子を頬張る。うん。可愛らしい。やっぱり美味しそうに食べる女の子は可愛らしい。見てるこっちがほんわかする。
「……!」
『?どしたの、ひよ里ちゃん』
急に団子を食べる手が止まったので聞いてみる。
「シンジや…!」
「え?何々?」
「シンジがこっちに来とる」
『来とるって…来てるくらいなら普通だと思うけど…』
「そーやけど……嫌な予感がすんねん」
嫌な予感?どんな予感だろう。
ひよ里ちゃんに言われた通り、辺りを探索すると確かに平子さんの霊圧がこちらに向かっている。
「しーな!逃げるで!!」
『え?ちょ』
ひよ里ちゃんは席を降り、私を引っ張る。しょうがないので財布からお金を出し、机に乗っける。
『久南さん。これ、お釣りは面倒なんで要りませんって言っといて下さい。もしくは、そのお金分は食べてもらって結構で』
最後まで言い終わらない内に、ひよ里ちゃんに連行された。