SECOND TIMES 番外編
□隊長
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【隊長】
今日も今日とていい天気。きっとひなたぼっこをしたら気持ちいいんだろーなぁ…。
ああ…空が私を呼んでいる。
「隊長。…どちらにいかれるんですか?」
『ちょ、厠です、』
「三分ほど前に行きましたよね?逃げようとするのは感心しません」
『アハハ……冗談ですって』
戸から手を離し、机にカムバック。
ただ今わたくし、拷問にあっております。仕事という拷問に。
『…あー、つまんねー』
「隊長の仕事は印を押すだけでしょう?それくらいやってください」
『私がやらなくともよくないですか?』
「ダメです」
ちと厳しいぜ、副隊長さんよ
渋々書類に手を伸ばし、判子を押していく。ああー、つまんねー。
退屈は敵だぜまったく。
ただその様子を見て、大丈夫だと思ったのか副隊長さんは私から離れ、自席につく。しかも、後輩の面倒を見ているらしい。視線が完全にそれている。
そして、こんなチャンスを見逃す私ではない。
『………………』
静かに戸へと近づく
「…あ!隊」
『アデュース』
副隊長虚しく、私は執務室を後にした。
「隊長!まったく目をそらしたらすぐこれ…」
「渚副隊長も大変ですね」
「まったくよ」
渚は呆れながらも笑っている
なんとか脱出することに成功。
さて、さっそく。
『あー………やっぱり最高』
サボりポイントAにて芝生に寝そべる
日で温められていたのか、背中が温かい。
日の光はとても良い。浴びるだけで、体の隅々が浄化されるみたいな感覚がする。
今日はあまり風は吹いていないが、それはそれでいい。
あ、今度は森林浴でもしようかな。
『……………』
「あれ?椎名ちゃん?」
『む?…京楽隊長』
まさかの人物に目を見開く。誰かが近づいていることは分かっていたが、なんとも意外。部下も連れておらず、一人のようだ。
『ここ、あんまり知られてない場所だと思ったんですが』
「知られてないのはあってるよ。…ボクも、ここ知ってるのボクだけだと思ってた」
京楽隊長はにこりと笑っているがどこか影がある。京楽隊長の手には花。
『その花は…』
「ああ。これはね…」
京楽隊長が歩く先には石。この感じは…墓石か。そこに手に持っていた花を添える。そして静かに手を合わせた。
『お墓…ですか』
「かつての部下でね…いい子だったよ」
いい子……ということは年下。それもまだ若い。
『お墓があったなんて気づきませんでした』
「そうなの?椎名ちゃん、結構この場所利用してるように見えるのに」
『実際もう4、5回は利用してます』
京楽隊長は私の横に来る
「部下を困らせたらダメだよ」
『……お言葉ですが、京楽隊長に言われたくはありませんね』
「はは、否定できないねぇ…」
京楽隊長は遠い目で空を見つめる。何を見ているんだろう。
「おっと、そろそろボクは行かなくちゃ、リサちゃんが待ってる」
『矢胴丸さん、ですか』
「椎名ちゃんも、早めに戻ってあげなさいよ〜」
京楽隊長は派手な羽織をなびかせて去っていく。その姿をなんとなく見つめ、体を起こす。
『……そーいや、墓参りなんか暫く行ってないな』
あの人のところは……今日はいいか。とりあえず隊長のところには行こう。
私は立ち上がる