SECOND TIMES 番外編
□隊長
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墓参りといったらやっぱり花。ただ、私は生憎花には疎い。サボりポイントはたくさんあるが、花なんぞどこに咲いているのやら。
……というか、今の時期咲いてるのか?
京楽隊長に聞けばよかった。と後悔。
『こーゆー時は女子に聞くのが一番だよな』
ひよりちゃん…は、知らなそう。久南さんもアレだし。あとの人は皆さんは仕事だと思うし…。
『…女子…女子』
「旭隊長…?」
『……男かよ』
声をかけてきたのは明らかに男。黒髪の好青年。羽織も副官章もないから平隊員であると思われるが。…なんか見覚えがある…てことは席持ちか?…どこで見たんだっけ。
「凄い唸ってましたけど」
『君は…確か…浮竹隊長のところで見たような』
「覚えててくれたんすか!」
この軽い感じの口調。ああ確かに見た、気がする。
『ええっと、ここまで出て止まってる感じだ…名前は、海豚くん』
「海燕です!!志波海燕!漢字似てるけど読み方全然違います!」
『そうだそんなよーな名前。…で、志波海燕さん。私に何か用で』
「用で、って……。旭隊長が難しい顔して歩いてたんで声かけたんすけど」
『そーか、それはすまなかった。私は今、男には用がないのだよ』
「?男には?」
随分と突っかかる人みたいだ。まぁ、もしかしたら花友(お花が好きな友達)を知ってるかもしれない。
『今、花を探してるのさ』
「花?ですか」
『そうできれば…水仙が、いいかな』
「あ、それなら俺知ってますよ」
……………え、マジで?
『やっぱ持つべきものは花友だよな、うんうん、花友に性別なんか関係ないさ』
「はなとも?」
『ささ、志波海燕さん。案内してください』
やっぱり、お花好き(決まったわけじゃない)に性別なんか関係ないのさ。
案内された場所は少し肌寒い。近くに水があるからなのか。
『………ひなたぼっこにゃ向かないな』
ねっころがったら背中が濡れそう。
『で、水仙は?』
「これです」
確かにそこには黄色い水仙が咲いていた。花を抜く行為はあまり好きではないが、抜かないと持っていけない。というわけで、容赦なく一本抜く。
「それで、水仙をどうするんですか?」
『うーん、たまには墓参りを、と思いまして』
「墓参り、ですか…」
それ以上は何も聞いてこない。空気が読める賢い人のようで安心。
『よし。ここまで案内ありがとうございます。志波海燕さん』
「海燕でいいですよ。隊長なんですし」
『じゃあ、海燕さんで。浮竹隊長によろしくとお伝えください』
「はい分かりました。では」
それから別れた