SECOND TIMES 番外編

□干し柿
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【干し柿】

今日も今日とていい天気

勿論サボりに向かった私は、意外にバレない隊舎裏で寝っころがる。
ここは日はあまり当たらないが、風がとても気持ちいい。

ひよりちゃんを誘って遊ぼうと思ったのだが……あっちはあっちで喜助さんに捕まっているらしい。残念だ。

仕事は自分の分は終わしてきた。また副隊長に怒鳴られるのは勘弁なので。それ以外の仕事は知るか。

『ふぁ………なんか、甘いものでも食べに行こうかな』
「なら、ひとつあげよか?」

視界に現れたのは黄色と茶色の中間の色をしたもの。甘い匂いがしたので、とりあえず食べる。

「……餌付けみたいやね」
『ん?』

食べながら、相手をみる。自分よりも幾分か幼い少年。狐のような顔。糸目。

『これ、柿?』
「干し柿や。お姉さん食べたことないん?」
『ないな。うん…なかなか旨い』
「そりゃよかったわ」

少年は私の隣に座る

『君が噂の天才少年か』
「わかってたんね」
『隊長にそんな態度とれんのは、私よりも強いと思ってる者くらい』
「あらら、全部バレてら」

少しも驚いた様子がない糸目少年。

「十番隊隊長さんはこんなとこでなにしてはるの?」
『みりゃ分かるだろ、サボりさ。そちらこそ、何してんのさ』
「同じくサボりや」

いくら天才少年といえど、君は新米だろう。いいのかそれで。と思うが……私も席官時代からサボってたわ。

『もひとつ頂戴』

腕のなかから干し柿を取る。口に入れると広がる甘味。うん、美味しい。

『で、糸目少年くん』
「糸目やない。市丸や」
『市丸?下は?』
「ギン」
『市丸ギン、か』

噂は聞いてる。真央霊術院を一年で卒業した天才。確かに普通の少年とは違う。なんというか、子供だと言うのに狂気が感じられた。

『君、五番隊。平子さんの隊なんだってね』
「そや」
『そっか』

五番隊は平子さんの隊。良い隊だと思うが……副隊長がな

『藍染副隊長はどう?』
「どうって?」
『いやさ。以前、私がまだ席官の時に藍染副隊長に誘われたことがあって。まぁ直ぐに隊長になったから自然と断ったんだけど』

もしかして

『君も、藍染副隊長に誘われたんじゃないかと思って』

そう言えば市丸ギンは少し驚いた顔をする。しかし、直ぐに口が弧を描いた。

「……面白い人やね」
『藍染副隊長が?それとも私が?』
「あんたに決まっとる」

そう言うと、市丸ギンは立ち上がる

『市丸ギン?』
「ギンでええ。十番隊隊長さん…僕とちょっと遊ばへん?」
『椎名でいいよ、ギン。遊びか………丁度暇してたんだ』

ニヤリと互いに笑い合う。


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