SECOND TIMES 番外編
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10/31 そう、ハロウィン
町中はカボチャやお化けを模した装飾が施され、人もなんだか浮き足立っている。
そんな中で私は、カボチャでないオレンジを見つけた。
『…何やってんの?』
「よ、よぅ…」
一護は黒いマントを纏い、首から"カボチャケーキあります!"という看板を首から下げていた。
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『……そうか。一護にもそんな趣味が』
「違えよ!これは仕方なく」
『仕方なく?』
一護の話によると、このケーキ屋さんは一護の父、一心さんの知り合いらしい。
いつもは店員さんがいるのだが、まさかの風邪でお休み。でも、ハロウィンだから客は多い。んで一護に要請。受諾、ハロウィンだから吸血鬼のコスプレ。
という流れだそうだ。
『ほー、一護も大変ねぇ』
「そう思ってんならケーキ買ってけよ」
『うーん……つってもなぁ』
買うのはいいが…今は渚がいないので、寒い部屋に一人でケーキを食べることになる。…うわっ、むなし。
だからって一緒に食べる相手探すにも……あ。
『………』
「なんだよ」
一護をじっと見ていたら、顔を歪められた。
『…いや、その格好写真とってやろうか』
「や・め・ろ!」
『っははは!んな、全力で拒否しなくても』
一護の顔がマジだったので思わず笑う。
「っ!俺だって好きでこんな格好…」
『似合ってるよ』
「は?」
『だから似合ってるって。そーゆー格好なかなか見れないからさ。新鮮?なんか』
「……」
私が折角褒めたのに一護は顔を反らし、今来たお客さんの方に向かってしまう。
『…ワッツ、反抗期?』
一護を見ると、一応仕事だからか比較的笑顔で接客している。それでもまぁ目付きはキツいが。
さて、本当は一護を見ていたのは別の理由からなのだが……言うのもなんか嫌だしな。
『一護』
「なんだ?」
『この、"イチオシ!カボチャケーキ"貰うわ』
私が言えば一護は店長を呼んできてくれる。そして、店長は手際よくケーキを箱に詰めた。
「お嬢ちゃん一護くんの友達かい?」
『あー、まぁそうっすね』
「それじゃお嬢ちゃんも手伝ってくれないかい?」
『え?』
ケーキが入った箱は私の手に渡らず、店長に戻っていった。