碧は染まった

□[G.I]
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選考会に合格した者に配られたのは契約書だった。

そこにはゲームをクリアした際にバッテラ氏から500億Jの報酬があることを始め、怪我をしたり死亡したとしても自己責任であること、ゲーム内から現実に持ち帰ったものはバッテラ氏に所有権があること等が書かれていた。なんともご丁寧な配慮である。

そしてその日の午後5時に合格者はターセトル駅に集合し、バッテラの所有する古城まで列車で移動する。

古城内をツェズゲラの案内のもと歩き、やがて一つの部屋に入る。

「!!」

数人が驚きを浮かべる。

部屋には何十台ものモニターと[G.I]が並べられていた。モニターには恐らく現在プレイ中であろう者の画像が映っている。

「さて、始める前に少しだけ補足しておこう」

ツェズゲラの話はこうだ。

この[G・I]というゲームは所謂オンラインゲームのようなものだった。どのハード機から始めても、全員同じ仮想空間に飛ばされる。

ただ、ゲーム内に入った際のシステムの説明は一人ずつしか聞けないらしい。例え全員で入ったところで中で待たなければいけなくなる。その為、順番を決めることになった。

じゃんけんの結果、ゴンが1番。キルアが17番で、私が19番だった。

ゴンがゲーム機に手をかざし発をすると…ゴンがその場から消えた。…本当にゲームの中に入ったみたいだった。

それから次々とゲーム内に入り…キルアも同様。そして、私も手をかざした。


____

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そこは不思議な空間だった。

幾何学的な模様の壁に囲まれた空間で、ゲームの中だけあって現実味がない。…触れたり、軽く叩いてみるが壁が傷つく感覚はない。

見たところ人の気配は無いが、なんとなく扉に向かい廊下を歩いていく。

また、扉に入ると円形の部屋に出た。

G.I(グリードアイランド)へようこそ」

部屋の中央に浮かぶ椅子のようなものに座っている彼女を見る。…ゲームキャラ、というには少しリアルだった。少女のようにも見えるが、幼い顔立ちにも思えた。

「ゲームの説明に移る前に、お名前をお伺いします」
『名前?』
「はい。G.Iは初めてのようですので、新しく名前を登録させていただきます」

考えてもいなかった。ただ、考えてみればこれはゲームなのだから始めに名前の設定があるのはセオリーか。

名前…名前か。"ノア"でも問題はないのだけど…一応別の名前にするか。…フェイタンがこのゲームに興味をもっていたのは覚えている。同じ仮想空間に集まるのだから、中で出会ってしまうかもしれない。それに、私はゲームの名前は本名にしない派である。

『では、"エル"で』
「エル様ですね。登録いたしました」

昔使っていた名前を使うことにした。これなら馴染みもある。

「それではこれよりゲームの説明をいたします。ゲームの説明を聞きますか?」

私はゲームをクリアしに来たわけではないが、だからといって何も知らないのも可笑しいだろう。私は彼女の言葉に頷いた。

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