SECOND TIMES

□浦原さん宅
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(ウルル)ちゃんと浦原さんってどんな関係?』
「どんな?」
『家族には見えないし』

と私が問えば雨ちゃんは額に手を当て、真剣に悩んでいる様。…うん、真剣に…真剣に…て一向に終わりそうにないな

『…まぁ別に答え出さなくてもいいよ』
「…はい」



スパーん と戸が勢いよく開く

「ウルル!!テメーどこいってたんだ!」

飛び出てきたのは赤い髪の男の子。なんとなくヤンキーっぽい。

「あ、ジン太くん」
「あ、じゃねーんだよ!あじゃ!一人だけそうじサボりやがって!」
「わわわっ、いたいよジン太くんやめてよ〜」

ジン太くんと呼ばれる男の子は愛しの雨ちゃんの頭をグリグリ。なんたる行為

『ちょいちょいチミ』
「あ゛?誰だおまえっ!」

がっ、と男の子の手首を拘束し後ろで固定。そして畳に押し付ける。おーおー睨んでくる睨んでくる

「お前っ!?なにすんだよ!」
『いやーだって。嫌がる女の子にグリグリはちょっと…』
「それはウルルがサボったからで!」
『雨ちゃんは私の遊び相手になってたんだよ。つまり、雨ちゃんが掃除をサボったのは私のせい』

この男の子も浦原さんとどーゆー関係なんだろ。ポジション的には雨ちゃんと同じみたいだし。いやまず雨ちゃんとどんな関係だ?兄弟?……にしては似てないし

「え、しーな、さん!遊び相手なんて、そんな」
『いんや。しーなさん的には雨ちゃんが居るだけで楽しいから』

にこりと笑えば顔を赤くする雨ちゃん。

「…変なやつ」
『ははは。変なやつで結構』
「………怪力ゴリラ」
『ん?何か言ったかね少年』
「い゛!ちょっ、ギブ!腕!腕とれる!やっ!やめろ!こうさんだ!こ、う、さ、ん!」

降参するそうなので、解放する

「はぁ、はぁ………で、ウルル!こいつはけっきょく誰なんだよ!!」

男の子は私を指差す

「しーなさん」
「しーなさん?」
『おう。旭椎名。浦原さんに助けてもらっ、たのかな?』

助けてもらったんだよな。うん。頬の治療もしてもらったし。未だに私がここに至るまでの経緯が曖昧。

「ふーん」

聞いてきたわりには興味無さそうだな

『で、私だけ名乗るのも可笑しいだろ?』
「…………なんで俺が」
『あ?』
「じ、ジン太!」

声を低めれば素直に答えてくれたジン太くん。正直な子は好きだぞ。

『OKOKジン太くんね。でさ、ジン太くんはここに居ていいのかい?』
「はぁ?何いってんだ?いいに決まってんだ」「ここにいたんですかジン太殿」「そ、その声は…」

ジン太くんの後ろにはいつのまにかメガネをした巨体の男が…。私までびびった。

しかも頭三つ編みの刈り上げって…ヤクザかよ!

「………」
『?』

三つ編み男が私をじっと見る…え?私何かしたかな。なにもしてないよね。それからすぐに視線をそらしてしまう。え?私何かしたかな?何もしてないよね。

「…お初にお目にかかります。私は握菱(つかびし)鉄裁と申します」
『あ、あなたがテッサイさんで…』
「むむ?何か?」
『いえ、なんでも。その、オムライスにプリン美味しかったです』

正直、目の前のこの人があんな美味しいオムライスやプリンを作るのが想像できない

「喜んで頂けたならよかった」

そうテッサイさんは微笑む

「で、ジン太殿?」
「ひっ!お、俺はサボった訳じゃなくてウルルを捜しに!」
『本心は?』
「ウルルを捜してそうじを押し付けようかなぁ…って何言わせてんだよ!!」
『ノッた方が悪い』

ジン太くんはオロオロ

まぁ、確かに。テッサイさんの睨みは怖い。少しだけジン太くんが可哀想に見えなくもない。

「では参りましょうジン太殿!」
「は、離せコラ!!いや、す、スイマセン!!」

ジン太くんはテッサイさんに引きずられていった

『さてと。浦原さん来るまで帰れないし寝るか、てアレ?浦原さんテッサイさんに呼ばれたんじゃ?』

どっかいったんかな。あの人、自由人らしいし。

『てことは………逃げるチャンス?』
「あ、あの」

雨ちゃんが私の目の前に来る。顔のドアップでびっくりした。

『な、何かな雨ちゃん』
「ありがとう、ございます」
『へ?』
「助けてくれて…」

助けて………ああ!さっきのことか

『いや別に。あれはジン太くんが悪いだろ』
「その……」
『うん?』

「もう少し…しーなさんと話してていい、ですか……?」

そんな天使の顔で見られたら断る訳がない。もう家に帰るのは夜でいい!眠気?ナニソレ美味しいの?

『もちろんさ!』

浦原さんが帰って来るまで、ずっとガールズトークに花を咲かせていた。




浦原さん宅と、親睦を深めた日だった





→つけたし

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