SECOND TIMES

□呼び声に応える
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「おはようございます。椎名さん」

朝起きて最初に目にしたのはみどりの縦じま

それから横目でカレンダーを見て思う

『浦原さん…そか…今日、か』
「ええ。出発は夜ですから、それまでに色々準備しないとッスね」

布団から出てのびをする

「調子はどうです」
『お陰さまで。悪い』
「その割には嬉しそうですよ?」
『そりぁ今日という日を待ちわびていましたから』

ほら、今も呼んでる












着替えて朝食を終えてから呼ばれたのは

『広……地下で一護が修行してたのは知ってたけど規模が全然…』
「驚いてくれて嬉しいッス」

地下勉強部屋。
自分の想像した何倍もの広さだ。
しかも天井は青空……これ作るの何日かかったんだろう…てかまず、人が作れるようなものじゃないだろ

「それでこれが、穿界門(せんかいもん)。黒崎サンたちもこれを通って行きました」

穿界門なるものは大きな四角だった。
空洞だけど…ほんとにこんなんで行けんのかな、どこでもドアみたいに

『…これを抜けたらもう尸魂界(ソウル・ソサエティ)?』
「いえ、その前に現世と尸魂界の狭間である断界というものがあります」
『断界ねぇ』
「そこには拘流(こうりゅう)と呼ばれる気流で満たされていて、魂魄(こんぱく)の動きを奪うものッス」

奪うって…

『もし、奪われたら…?』
「断界に閉じ込められるか………椎名さんの場合、生きてはいられないでしょう」

思った以上にハードだなこりゃ。

「それから、門を開いていられる時間は4分」
『4分って……』

こっちはダッシュでさえ命取りなんだぞコラ

「4分と言っても出来るだけ早い方が良い。一度こちらから門を開いてる以上、尸魂界側も警戒していない訳がありませんからね」
『からねって…はぁ…こりぁほんとに寿命が縮まりそうだ』
「……なんなら止めます?」
『バカ言え』

立っているのが疲れたので、その場に座る

「あっちでもちゃんと薬は飲んでくださいよ?」
『分かってますよ』
「無茶もしないように」
『分かってますって』
「……それから」
『あなたは私の保護者ですか』

そう言って浦原さんをみれば少し驚いていた。お、下からだと浦原さんの表情が解り易い。

『何驚いてるんです』
「…いえ。その言葉、前にもあなたに言われまして」
『前……ああ、記憶が無くなる前』

私は浦原さんとどんな関係だったんだろう。それも、彼を見つければ全て分かることだが…少しだけ不安だ

『浦原さん。私と浦原さんって良い関係でした?』
「そりぁもう!!恋人のように!」
『なるほど、目があっただけで殺し合うような仲だと』
「…アタシの言葉聞いてました?」
『嘘はいけませんから』

さてと、私は立ち上がる。それから軽く腕を回したり腰を曲げたり。

「何してるんです?」
『ここんとこ寝たきりだったので、軽く運動を』
「そうスッねぇ。何しろ4分間であちらについてもらわないと困りますから。しっかりストレッチはしてくださいよ?いきなり走ってけんでも切れたら笑い事じゃすまないッス」
『そうですね……。はぁ…とりあえず血を吐いても止まらないようにしなきゃな』

拘流がどんなものかは分からないが、可愛いものではないはず。

「お昼はこっちに持ってきますか?」
『そうですね……またあの長い梯子を登るのは骨が要りそうです』
「了解ッス」

浦原さんは私の横を通りすぎて…止まった。なんだろ、まだ何か用かな。

「椎名さん」
『は、い?』

ふわっ と温かいものが私を包む。それが浦原さんだと気づくのに0.5秒

『う、浦原さん?』
「生きてくださいよ」
『……………』

浦原さんは私を強く抱き締める。浦原さんの腕は少し震えていた。

「何を犠牲にしても、死にかけでも…必ず生きて戻ってきて下さい…」
『………浦原さ』
「もう、あんな姿見たくないんスから…」

その言葉を言い終わると浦原さんは直ぐに離れ、上へと戻っていく。

『……ほんと、一体私とあなたはどんな関係だったんですか』

ねぇ浦原さん。
あんな姿って……どんな姿なんですか。

あなたはどうして、そんなに私に気をかけるんですか。

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