SECOND TIMES
□Think of tomorrow.
1ページ/4ページ
チュン チュン と鳥の囀りが聞こえた気がして目が覚める。
窓際を見るが鳥なんておらず、直ぐに空耳とだと理解。
ただ、朝の様なので起き上がる。起き上が………れなかった。
「………」
『……なんで居るんだ』
胸の上には黒猫が。
ぎゅ
「ふぎゃあ!?な、なな何ごとじゃ!!」
『おーおーいい反応』
掴んだ尻尾を離す。やっぱ猫の尻尾を掴むのは効果的だったようだ。黒猫、夜一さんはこちらを睨んでいる。若干目が潤んでいるのは気のせいと思いたい。
「いきなりなにするんじゃ椎名!どんな起こしかたじゃ!」
『気持ち良さそうだったのでつい、あと好奇心?』
「それがここまで運んできてやった者への礼儀か!!」
『運んだ…?そーいやここ』
私は今ベッドに寝ている。記憶が正しければ、双極の丘で寝たはず。どうやら夜一さんが運んでくれたみたい。
『あー、ありがとうございます』
「…言い方が気に入らんが、まぁいいだろう。それより、調子はどうじゃ…?」
『良いですよ』
紅牙が私の寝ている間に色々調節してくれたのだろう。
「そうか、ならよかった。それと……戻ったんじゃな」
戻ったというのは恐らく記憶のことだろう。
『はい。夜一隊長』
「夜一でよい。それに…想像はついてるじゃろうが、儂はもう隊長ではない」
夜一さんは私の上から降り、背伸びをしている。それを真似して私も背伸び。おお、背中が伸びる。
「皆、おぬしを心配しておったぞ」
『そうですか、それは悪いことをしたようで』
「なんせ、一週間も寝ていたんじゃからな」
『………………………………は?』
え?ワンモアプリーズ?いっしゅうかん?へ?一週間!?
「その様子じゃ、分かってなかったようじゃの」
『分かってるもなにも……え?マジ一週間?』
「マジも大マジじゃ」
そりぁ、体も良くなるわ…。……一週間寝てたとなるとお腹空いてきたな……。てか、一護たちまだいんの?
「一護なら十一番隊じゃろう。最近はそこにいる」
『…エスパー?』
「声にでてるだけだ」
『ほんとっすか』
気づかなかったぜ。今度から気を付けよう。
とりあえず、ベッドを降りる。備え付けの机には私の死覇装と隊長羽織。
死覇装に着替えるのはいいが、羽織はどうしよう。
「着ないのか?」
『新しい隊長が居るはずですからね…。捨てるか』
でもどこに捨てればいいのか分からないので、手で持つ。うん、荷物。
『さてと、まずは腹ごしらえかな。夜一さんは?』
「椎名が起きたことだし、帰るまでフラフラするかのぅ」
『帰るまで……今日現世に帰るんですか?』
「そのつもりじゃ。……おぬしは、どうする?」
どうする、か。
私は元々こちらの者。でも、尸魂界から言えば私は故人。居場所はない。
『…んー、総隊長のところ行ってみるか』
「…もし、儂らと帰るようなら穿界門で待っておるぞ」
『はい』
夜一さんは窓から出ていく。それを見届けてから、私も歩き出す。向かう場所は
『食堂だな』
今日も空は絶えず青い