SECOND TIMES

□流れの中で
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『で、どこら辺から盗み聞きしてたんです?』
「………」
『反応からして最初からか』

日番谷冬獅郎は未だ黙り混んでいる。でも、喋らないとわからないじゃないか。

『黙秘権は認めんよ』
「……調べた」
『私のことかい?』
「あぁ」

日番谷冬獅郎は少し顔を歪める。

「……およそ百二十年前、お前は十番隊隊長だった。そして、百年前に…失踪した、ことになってる…」
『ほへぇ、失踪になってたのか』

死んだという確証はなかったからか。四十六室のことだから死亡とか書かれてると思ってたわ。

「…悪かった」
『どうしてあやまるのさ』
「なんとなく、だ」

こないだの様な威勢の良さは感じられない。そんなに衝撃的だったかな…。


気づくと十番隊の門の前

「少し待っててくれ」

そう言い日番谷冬獅郎は隊舎に入っていく。待っててとは言われたが、私が素直に従うわけがない。
…隊舎は昔とあまり変わっていないようだった。

『…………懐かしい、か』

適当に回ってよう

まずはサボり場所Eだな










「あなたは…」

場所につくと既に先客がいた。この経験は二回目。

『ここ、あんまり知られてないと思うんですけど』
「そうだったの?…いや、そうね。彼も」

金髪の巨乳のお姉さんは遠い目を空に向ける。死魄装を着ていることから死神であることは確定。なんとも憂いを帯びた顔をしていた。

『ところであなたは』
「あ!ごめんなさいね。私は乱菊。貴女は椎名ちゃんよね」
『ご存知でしたか』
「当たり前よ!貴女も尸魂界を救った恩人の一人なんだから」

恩人。そう呼ばれてるのか。

『……さっき彼って言ってましたけど』
「ああ!それはね、関係ないの!ごめんなさいね」
『いえ、それって市丸ギンのことですか』

なんとなく聞いたのだが、図星だったよう。驚いたようにこちらを見る。

「っギンのこと知ってるの!?」
『昔、ですけどね』

建物に背中をつけ乱菊さんの隣に座る。相変わらずあまり日の当たらないここは、風が気持ちいい。

『私がここでサボってる時に、彼から干し柿をもらいまして。その後は一緒にサボりました』
「そうだったの」

乱菊さんは少しだけ笑ってそれでいて悲しそうな顔をしている。美人には似合わない顔だ。

「………あれ?昔って」

あ、そういえば説明してないんだった。……説明、めんどいな。無視させていただこう。

『…あー、……さ、さてと、とーしろーも多分捜してるだろうしそろそろ行くか』
「え!?隊長?」

隊長?あ、そっかここ十番隊だもんな。

『そう。ちょっと話があって…。あ、乱菊さん』
「なに?」

立ち上がり乱菊さんを見据える。気休めにもなるか分からないが、その似合わない表情が崩れればいいと思う。

『市丸ギンが昔私に教えてくれたんです』
「…ギン、が?」
『"守りたい人"がいるんや、って』
「……………」
『それはきっとあなたのことなんでしょうね』

ギンは私と同じくサボり癖があり子供とは思えない狂気もあったから、藍染に従順に従うとは到底思えない。

それに、守りたい人が居る尸魂界を本気で壊しに来ようと思うだろうか

…………ま、全て私の憶測に過ぎないが。彼に"情"という言葉が似合わないのも事実。

「そう……ありがとう」

乱菊さんは少しだけ笑っていた。


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