SECOND TIMES

□破面そして金色
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ドン

土煙が舞う。ただ直ぐに収まりその正体を見る。

たつきの前に現れたのは茶渡さんだった。だがその右腕は見たことがない。右腕は紫色の鎧をまとっている。…虚に少し似ているが違う感じだ。その右腕が、石ころを防いでいた。

そして、茶渡さんだけじゃなかった。

「椎名ちゃん!大丈夫!?」
『…大丈夫もなにも』

織姫。なんで居るの。ここにいたら危険だ。織姫見たいな優しい子は傷つく。

「…井上。話した通り…有沢を連れて退がってくれ…」
『いんや、二人とも退がってもらおーか』

私の言葉に茶渡さんが目を見開く

「!?何言ってるんだ、オレも」
『残念だが多分君らには無理。差別してるわけでも君のその右腕の能力をバカにしているわけでもない。…アイツらはちょっと桁が外れてる』

この破面たちは強い。
普通、こういうときにやってくるのは”したっぱ“というのがセオリーだが、どうやら違うらしい。

二人とも幹部といった所か。

「邪魔が増えやがって…ウルキオラ!この男か!?」
「…ヤミー。お前もうちょっと探査神経(ペスキス)を鍛えて自分で判断できるようになれ。一目見ればわかるだろう。
その男はゴミだ」
「そうかい!」

図体のでかい破面(ヤミー)は腕を振りかぶる。それに答えようと茶渡さんが腕を振りかぶるので、あわてて間に入る。

「!?っ旭」
『だーかーら、私がやるからとりあえず茶渡さんは織姫を』

ヤミーの腕はとても重い。ああ、刀で受け止めるんじゃなかった。

私の腕の骨がみちみちいってるのを感じてかヤミーが不適に笑う。

そして

「こっちも忘れてねえよなァ!」

あろうことか受け止めていない左腕を茶渡さんに突きだす。
まずい。

『っあァもう!』

こうなりゃ自棄だ。

右腕を受け止めたまま右足を振り上げ、ヤミーの左の拳とぶつける。

っ痛!?いま、変な音したぞ!?足が!ボキッみたいな!

だが腕を止めることは出来た。

「旭!」

反動で後ろに倒れる私を茶渡さんが受け止める。それはありがたいが、茶渡さん。君は織姫を連れて逃げてくれ。

「椎名ちゃん!」

あぁ…しかも織姫まで私の処に来て足を治し始めてる。

これじゃあ本末転倒じゃないか。

『………』

というか後ろのもう一人の破面…ウルキオラって呼ばれてたか。

何やってんだ?

さっきから見てるだけだ。今も私の足を治療する織姫を……織姫を?

『織姫、もう大丈夫』
「だ、ダメだよ!まだ治ってない」
『大丈夫だから』

なるべく安心させるように微笑む。

尚も、ウルキオラは織姫を見ている。

ヒュン

『おっと』

織姫を庇いながらしゃがむ

『いきなり腕回すなって』
「さっきからちょこまかとしやがって!!」
「どけ、ヤミー」

今まで黙っていたウルキオラが口を開く

「あぁ!?」
「その女は俺が相手する」
「何いってんだこいつは俺の」

キュオ

白い光がウルキオラの手に集う。それを見たヤミーはその場を離れる。

……まずい

『…離れて』

私は二人に告げると刀を相手に向ける

『紅牙』

相手が虚閃(セロ)を放つと同時に、私も”発泡"する。

二つがぶつかり合い、爆発音。回りは白く包まれ見えない。

「…椎名ちゃん!!」

少し遠くで織姫の声が聞こえる。無事のようだ。

『ふぅ……』
「…己の霊圧を圧縮して放出したのか」
『この一瞬で分析ですか。良い目持ってますね』

言ったら少し驚かれた。なぜだ。

さて、始解しちゃったし。真面目にやるか。

『…あの破面は』


ヤミーが、いない。


ばっと後ろを振り向くと…居た。ヤミーが茶渡さんと織姫に腕を振りかざす。

やば

が、

「…な……何だてめえは…!?」

オレンジによって阻まれた。

『来んのおっそ…』
「…悪い、椎名」

一護がヤミーに刀を向け静止させながら、私に視線を送る。急いで来たのか一護の息は少し粗い。

いやー危なかった…。
…二人が傷つかずに済んだ。

さて、と。

『一護、そっち頼むわ』
「ああ!って、」

一護の目が軽く見開かれる。

「!椎名…その足」
『ん?ありゃ、血が出てる』

ヤミーの拳とぶつけた右足から出血していた。霊圧で強化したからといって、流石に生身は不味かったか。骨いったかなぁ…。
その分、ヤミーの拳からも血が出ているので効果はあったみたいだが。

一護の顔が暗くなる

「…椎名の足はテメーがやったのか」
「あぁ?だったらなんだ」

ヤミーの答えを聞いて一護が刀を構えた。

「椎名…直ぐに終わらせる」

いや、なに舐めたこと言って

「卍解!!」

その瞬間 ドン と、破面が落ちてきたときと変わらぬ霊圧が一護から溢れだす。

「ー天鎖斬月!」

一護は死魄装とはまた違う黒い着物に身を包み、大きな出刃包丁の様だった斬魄刀は黒い細身の刀になっていた。

『…想像以上だな…』

さすがは真血。まだ、卍解を習得して間もないだろうに、これだけの力。

でも何だろう。少し違和感を感じる。

……霊圧が揺れてる?

微かだが安定していない。…まだ卍解に馴染んでないのか?

『とりあえずは、大丈夫か…』

危なくなったら私も入ろう。それより

『私たちも始めます?』

少し挑発的な笑みで言ってみる。が相手は動じない。…っけ面白味がないぜ。

「俺はお前と戦うつもりはない、旭椎名」
『ああ…やっぱり私のことは承知済みか。藍染から何て言われてんの?』
「危害を加えず、そのまま連れてこいと」
『そりゃまた難しい仕事ですねェ』

どうしようか。

正直、ここで捕まってしまうのも悪くない。けど一護も狙われてんだよなぁ。

織姫と茶渡さんも居るし…今回は無理か。

『それと、一つ聞いていいかい』
「なんだ」

あれ、以外にも答えてくれるらしい。てっきり「ダメだ」とか言われるかと思ってたわ。

『さっき、織姫の”何“を見ていた?』

ウルキオラの目が少し細まれる。
さっきと言うのは私の足を織姫が治療している時のことだ。
やっぱりどことなく違和感を覚えたのだ。…こういう勘はよくあたる。

『もし、織姫に危害でも与えようなら…貴方から殺すけど』
「……そうか、なら言おう。あの女に危害を与えるつもりはない」

そう、はっきりと口にするウルキオラ。なんだコイツ意外といい奴か?

いや、気を許してはいけない。
なにせコイツの心情は喜助さん以上に読めない。

『なんだ、偉くはっきりと…』
「さっきまではゴミだったが…予定が変わった」

予定が変わった…。その言葉に眉を寄せる。
…危害は加えない。

『…それは、織姫が君たちに必要ということか?』
「答えられない」

ウルキオラの答えに小さく舌打ち。口は固そうだ。

利用するとすれば、治療能力か。
…確かに、織姫の治癒能力は凄い。最初、私も驚いた。なんというか…一度に治る量が多いから早いんだよな。
鬼道だとまずは霊力の回復から入るから時間がかかる。織姫のは、霊力の回復の前に傷の治療優先の様だし。

「っ黒崎くん!」

途端、織姫が悲痛に叫ぶ。

考えを巡らしていた私は直ぐに一護の方を見…



なぜか一護が殴られていた。ヤミーに。
それも、一方的に。



そんな一護を庇って茶渡さんがやられて、治そうと織姫が必死に

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