愛する世界に変革を

□トンパ
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エレベーターを降りると一斉に視線が向けられる。しかし、直ぐに興味を無くしたのか視線が反れる。ちらほらと"子供かよ"と言う単語が聞こえることから、舐められているらしい。

「はい、こちら番号札になります」
『豆…』

札を渡してくるのはマーメンさん。生で見ると余計に豆のフォルムが凄いな。思わず呟くとマーメンさんに苦笑いされた。

「シーナ、99番と100番どっちがいい?」
『100番』

ここは原作通りになって貰わないと困る。キルアから受け取った100番の札を胸元に着ける。

それだけで、本当にハンター試験受けるんだなぁ…と今更ながら感じた。

「よっ、お前ら新顔だろ」
『あ、』

片手を挙げながら気さくに近づいてくるのはトンパ。…またの名を新人潰しのトンパ。
私、基本はハンターハンターのキャラ皆好きだが、トンパはあんまり好きじゃない。性格もそうだけど主に顔だな。鼻が大きい。

「だれ?」
「オレはトンパってんだ。もうここの試験今年で35回目だ」
「35回!?」
「おう!まぁ試験のベテランってことだよ。分かんないことあったら何でも聞いてくれ!」
『…いや、34回も落ちてるんじゃ』
「う"っ、いやまぁそうなんだけどよ」

アハハとトンパは頭を掻く。きっと内心ムカついてるんだろうな。

「あ!そうだお近づきの印に…」

…来た。
トンパが取り出したのは何の変鉄もない缶ジュース。
私から見れば禍々しい紫のオーラ満載の缶ジュース。

「飲みなよ。無事お互い合格できるよう健闘を祈ってさ」

お互い、なんてよく言うぜ。自分は合格する気なんて無いくせにさ。

さて、どう断ってやろうか…。なんて考えていると。

「そっか、ありがとうトンパさん!」

キルアは意気揚々とジュースを受けとる。
…あ、キルアが飲んじゃったら私断りずらくないか?

ふと気づく。

……とりあえず、後で飲むって言って受けとろう。

『……』

スカッ

と思ったのだが、私の手は空振りした。

「ゴクゴク…」

隣を見るとジュースを飲んでいるキルア。

『キルア?』
「ごめん!喉乾いちゃってつい」

そう可愛らしく舌を出して見せるキルア。……これは助けてくれたのか?

『ううん。私、喉乾いて無かったから丁度良かった』

何はともあれ助かった。

『すみませんトンパさん』
「い、いーってことよ!喉乾いたらまたおいで」
『ありがとうございます!』

私とキルアはその場を離れる。





『キルアありがとう』
「…!お前気づいてたんだ」
『まぁ。いきなりジュースあげるなんて怪しいから…でもキルアは平気?』
「オレ、訓練してるから毒くらい平気」
『毒って…やっぱり入ってたんだ。というか凄いね!』

そう言えば得意気な笑みのキルア。…うん、可愛らしい。私の頬は最上級に緩んでいる事だろう。
…でも、まさか助けてくれるとは。嬉しいな…。

「オレ、また飲み物貰ってくる」
『うん。分かったけど…』
「アイツの動揺した顔見てみたいし」

ニヤリとするキルア。うん、そんなキルアも勿論可愛いい。最高。

『でも無理に飲みすぎないでね』

私が言うと、トンパさーん!と白々しい笑みで走っていくキルア。
…やっぱ凄いな。私には毒を飲む勇気は無い。まぁそもそも毒に耐えられないからだけど。

その間に色々観察してみる。

どこもかしこも屈強な男たちだらけ。女性は私を含めても数十人。
子供(未成年)はちらほらと。

因みにどっかのピエロと針人間を探してみるが、人が多すぎ+子供身長故に見つけられなかった。
もしかしたら私のいる場所とは反対にいるのかもしれない。

はぁ…一次試験は走るんだよなぁ…

あの人は、私なら試験も楽勝で受かる、とか言ってたけどそんなにスタミナに自信はない。今、子供だし。

確か…80q走った後に階段だっけ。いや、100qだったかな。細かいとこまでは覚えてないが、多分そのくらいだろう。

……うわぁ、余計に走れる気がしない。



「シーナ」

満足げに歩いてくるのはキルア。どうやらトンパ弄りは終わったらしい。

『お帰りなさい。どうだった?』
「っくく、スゲー顔してた。シーナにも見せれば良かったなぁ」
『ふふ、私も見れば良かった』

ああ、やっぱりキルア可愛((

ジリリリリ!!

「!」

けたたましいベルの音。
周りの受験者もベルの音源を見る。

「ただ今をもって受け付け時間を終了いたします。
ではこれよりハンター試験を開始いたします」

…始まった。周りの空気が変わる。ピリッとなった。

「こちらへどうぞ」


 

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