愛する世界に変革を

□一次試験が一番辛い
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ガー ガー

「ちゃんと掴まってろよ」
『は、はい』

はっはっは……皆さん。
絶賛私は己の鼻血と戦っております。


一次試験が始まり、受験者たちが一斉にサトツさんの後を走っているなか、私はスケボーに乗っていた。
しかもキルアの後ろに。
そして落ちないようにとキルアの肩には私の手が乗っている。

………うん。ヤバイ。色々ヤバイ。私の何かが弾けそうだ。

なんて思ってるとスーと過ぎていった人からいい匂いが…香水か。

「おいガキ汚ねーぞそりゃ反則じゃねーかオイ!!」
『わっ!』

いきなり大きな声をかけられ思わず吃驚してスケボーから落ちる。がなんとか転げずに走る。自分の反射神経に感謝だな。

「大丈夫か?」
『うん。びっくりした』

キルアに心配されまたもや気持ちが高揚する。

…にしても、この声は。

「オイガキ!!聞いてんのか!反則だろ!反則!!」

後ろを振り向くと明らかに目を吊り上げて怒っているスーツの男…レオリオ。……想像以上の声のデカさ。

「何で?」
「何でっておま…こりゃ持久力のテストなんだぞ」
「違うよ、試験官はついて来いって言っただけだもんね」
「ゴン!!てめ、どっちの味方だ!?」

うわー!ゴンだ!
うん、ツンデレキルアとはまた違った純粋な可愛さがあるな…。

「どなるな。体力を消耗するぞ、何よりまずうるさい。テストは原則として持ち込み自由なのだよ!」

あ!クラピカだ!!男性とは思えない綺麗さ…。是非お姉様と呼びたい。

「……」
『気になるの?』
「まぁ」

キルアは少しスケボーのスピードを落とす。

「ねェ君、年いくつ?」
「もうすぐ12歳!」
「……ふーん。同い年…ね」
「?」
「やっぱオレも走ろっと」

キルアはかっこよくスケボーを降りる。それはなんとも鮮やかで

「『かっこいいー』」

思わずゴンと被ってしまい、目が合う。

「オレ、キルア」
「オレはゴン!」
「君は?」
『シーナ』
「あ、そーいや年は?」

キルアに聞かれ、言ってなかったっけ、と思う。

『15歳』
「!、お前3つも年上だったのかよ」
『うん』
「じゃあシーナさん、か」

ゴンが笑顔で見てくるのを見て胸が高鳴る。うん!なにこの子!天然記念物!?

『さん付けもなかなかだけど、シーナでいいよ。私もゴンって呼ばせてもらうから』
「?うん分かった!」

無邪気な笑みにまたもや心臓をやられる。ああ、どうしよう。別のスタミナが底をつきそうだ。

「オッサンの名前は?」
「オッサ…これでもお前らと同じ10代なんだぞオレはよ!!」
「「ウソォ!?」」
「あー!!ゴンまで…!!ひっでーもォ絶交な!!」
『あははっ!』

目の前のやり取りが面白くて思わず笑う。

「ねぇ、シーナ」
『何?』
「なんでフード被ってるの?」

ゴンの無垢な瞳が私を見る。

『んー私も何でかは分からないんだけど、とりあえず被るように言われてるんだ』
「誰に?」
「一応の保護者からだとよ」
「一応?」

キルアの言葉に首を傾げるゴン

『親じゃないんだけど、私の面倒を見てくれてる人だよ』
「へぇ…!」

ゴンは嬉しそうに笑う。なんとなくミトさんでも想像してるのかな、なんて思った。


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