愛する世界に変革を

□四次試験 中
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『キルア!』
「シーナ!お前何処行ってたんだよ!」
『ごめん。その、こんな森は初めてだから興奮しちゃって…』

これは嘘ではない。そのせいで私は宙吊りになったのだから。

「はぁ…だからって、近くに隠れてろよ」
『ごめんごめん。でも、ほら。約束は守ったでしょう』

私が笑えば呆れながらもキルアも笑う。

「よし、とりあえず歩くか」
『うん。キルアのターゲット見つけないと…。あ、キルアのターゲットは何番?』

勿論知っているがここは聞いておこう。

「199」
『199番か』
「!知ってんのか!?」
『うん。確か三人兄弟の誰かだった気がするよ』

流石に名前は覚えてないが…確か、ヤモリだかイモリだかトカゲだか…

「…よく覚えてんな」
『3次試験で待ってる間暇だったから…』

これも嘘ではない。流石にずっとヒソカとトランプはしていなかったので、なんとなく受験者を観察していたのは本当だ。

「そういやシーナって二番目だもんなぁ。あーあ、俺たちもあのオッサンがいなきゃもっと速かったんだけど」
『オッサン、てトンパさん?』
「そ!アイツ毎年新人を潰すためだけにハンター試験受けてたんだぜ!!」
『うわー、嫌な趣味だね』
「だろ!?ま、オレたちが潰されるわけねーんだけどさ!あ、でもレオリオがさ!」

とても楽しそうに、嬉しそうにキルアが話すのを見て私の頬も自然と上がる。

…キルアは今、初めて友達と行動する楽しさ。仲間と乗り越えた嬉しさを感じているんだ。

そのことを思うと余計に私は嬉しい。

私はイルミさんの気持ちが分からないわけではない。実際殺し屋としては友達は邪魔な存在というのも頷ける。

なぜなら、そもそも殺し屋の本当の友達になってくれる人なんてそうそう居ないと思うから。
ゴンみたいな子は確かに居るけれど、巡り会う確率はとてつもなく低い。

でもキルアは殺しをしたくないって思ってる。
なら、友達を作ることを妨げる理由は何もない。

『…ふふ』
「!…な、なんだよ」
『ううん。キルアが凄く楽しそうだから嬉しいんだ』
「!はぁ!?な、なんでオレが楽しそうだとシーナは嬉しいんだよ!」

キルアは顔を背け声をあらげる。
勿論、それは照れ隠しだと分かっているので今私の口許は最大限に緩んでいるだろう。

『うーん…そうだなぁ。簡単に言えばキルアのことが好きだからだよ』
「…………………………は?」

急にキルアが止まる。

『キルア?』

振り替えると豆鉄砲でも食らったような顔をしていた。

『っふふ、なんて顔してるの?』
「………………シーナ、さっきの、て?」
『え?さっきの?』
「ほ、ほら!お、オレのことがす、すき、とか、その」

とてつもなく真っ赤な顔のキルア。
なぜそんなに真っ赤なのか理由が分からず首を傾げる。

『?キルアのことが好きなこと?』
「っそう!!それだ!って、え!?」
『…あの、キルア?どうしたの?顔も赤いし…』

怒っている訳ではなさそう……。
焦って顔が真っ赤なキルアはそれはもう可愛いのだが…生憎とキルアをそうさせた原因が見当たらない。
私の行動にもおかしな点はなかった筈だし…。

と頭を悩ませていると、やがてキルアは何かに気づいたようにハッとする。
それから恐る恐るといった様子でシーナに尋ねる。

「……シーナ」
『?なに』
「ゴンはどう思う…?」
『どうって…あんな純粋な子は今時居ないよね、もはや国宝レベルだよ』
「そうじゃなくて!!その、オレに言ったみたいに…す、すきか?」
『?うん。勿論、ゴンも好きだよ』

キルアは察した。

「…クラピカは?」
『?うん、好きだよ。何より綺麗だし頭も良いよね』
「……レオリオは?」
『好きだよ。あんなに優しくて情に厚い人はなかなか居ないよ』
「………オレは?」
『……さっきからどうしたの本当に。流石に心配するよキルア。それにキルアのことが好きなのはさっき言った筈だけど…』

キルアの顔から赤みが取れ、いつもの白い肌に戻っていく。

それから深くため息。

「…あーあ…なんか、妙に疲れた」
『なら休もうか?もう結構歩いてるし』
「…………はぁあ」
『?』
「シーナってさ」
『うん』
「………やっぱなんでもない」
『え!?』

そこで普通止める!?

それから何度も聞こうとしたが、結局私がキルアから聞き出すことはできなかった。

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