愛する世界に変革を
□最終試験 上
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ついに……きた。
しっかりと三日経った朝。
受験者はハンター委員会が運営すると言うホテルに連れてこられていた。最終試験の間はここで過ごすことになるらしい。
「なんかドキドキするね!」
『うん』
隣のゴンは待ちきれないといった様子でウズウズしている。対してキルアは落ち着いていた。多分、今回も楽勝だと踏んでの態度だろう。
飛行船から降り、暫くネテロさんの後を続いていくと広い部屋に出た。
それはもうだだっ広い部屋。
そこには今までの試験管たちが居り、また、ポツンとおかれたボード。そのボードには布が被されていた。
……あれに、書いてあるんだ。
ネテロさんはそのボードの隣で止まった。
「最終試験は1対1のトーナメント形式で行う。その組み合わせは、こうじゃ」
スルッと布が外される。
受験者はそれに注目し、言わずもがな私も注目。
ええっと…
294-405…ハンゾー対ゴンは変わらず。
44-404 ヒソカ対クラピカも変わらないな。
大体は原作通り…後は真ん中に301-100……
あれ?301-100?
『……………』
…301番とはギタラクルもといイルミさんであり、100番は紛れもなく私だ。
つまり…これは…ギタラクル対私。
・・・
………マジで?
チラリ、彼を見てみるが相変わらずカタカタしているだけだ。
………………………おいおい…
…ふざけるなよアイザック=ネテロ。
これ、負けた方が上へ進むんだから……原作通りならキルアと当たってしまう。
…私、四人とは戦いたくないって言ったよね?
それともあれかな。ギタラクルさんに勝てと、天下のゾルディック長男に挑めと。
…おいおいそりゃないぜ。冗談にも程がある。
しかしボードに書かれた事実は変わらず。
「戦い方も単純明快。武器OK反則なし。相手に"まいった"と言わせれば勝ち!」
まいった…なんてよく言うよ。
そのルールが一番この試験を難しくさせているというのに。
ジトリとした目で見ていれば華麗にスルーされた。…絶対わざと目をそらしたなこのジーさんめ。
「ただし。相手を死にいたらしめてしまった者は即失格!その時点で残りの者が合格、試験は終了じゃ。よいな」
はぁ……なんだろうこの圧倒的疲労感。
戦う前なのにもう1、2戦やりましたみたいな心境。
「それでは最終試験を開始する!!」
……さて、どうしようか。
私の理想はレオリオのような位置であり、つまりは後であればあるほど良かった。
その方が原作に干渉しないし、"キルアの件"も冷静に接触しやすい。
それは確かに実現した。
この書き方からしてポックル対キルア、もしくはボドロ対レオリオの後に私の試合が入る。第6試合目か第7試合目か……。
だが、この位置が悪い。
これだと私は必ずギタラクルに勝たなければならない。
負ければ、キルア対私となる……それはそれでキルアが傷つくことが無くなるのでいいのは良いけど…。
いや…この出来事によってキルアとゴンたちとの絆がぐっと強くなる。
…その為なら我慢しなければ。
「第1試合!ハンゾー対ゴン!」
呼ばれたハンゾーとゴンは中央へと歩いていく。
あ………その前にまず、この第1試合を乗り越えなきゃいけないんだった。
『………』
「シーナ、大丈夫か?」
『…うん?大丈夫だよ』
「そうか…ならいいのだが」
これから起こるであろう光景を想像し、顔が歪む。
……そう…大丈夫…大丈夫だ。
拳を握るシーナをクラピカは心配そうに見つめていた。