愛する世界に変革を
□時は着々と
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………
…
消えない
消えない
もう血は落ちてるのに
もう綺麗になった筈なのに
「…なんで」
なんで"ありがとう"って
刺したのはオレなのに。
護るって誓ったのに。
破ったのはオレなのに。
なんで、なんで…
「なんで」
笑ってたんだよ、シーナ
「なんで」
消えてくれないんだよ
消えない
消えない
彼女を刺した感覚が消えてくれない
「…キルア坊っちゃん、それくらいにしてください。見てる私がもう辛くて耐えられませんよ」
蛇口が止められる。同時にヒリヒリとした痛みを感じた。水に当てすぎたせいで手が赤くなっていた。
…でも、違う。シーナはもっと…もっと痛かった。
「ゴメン、汚した」
握りしめた手から血が垂れ、シンクを赤く染める。
「…坊っちゃん、ダンナ様が…」
「うん。分かってる。独房だろ」
丁度いい。丁度、痛みが欲しかった。
キルアはその場を去る。
その背中をゼブロはただ見つめていた。