アメジスト

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鎖。それがクラピカの念能力。それは知っていた。クラピカの鎖は敵の隙を突き、蜘蛛の大男に絡み付きそして引き寄せる。そのまま車へと男を押し込み、発進させる。私の乗る車も後を追って走る。

…本当に捕らえてしまうなんて。勿論クラピカの戦略に失敗なんて文字は無いが……あの大男だ。クラピカの鎖は千切られてしまうのではと思っていた。けれど、あっさりと捕らえた。…特種な鎖なのか、それとも相手がこちらを舐めているのか。

『………後ろ』

ふとバックミラーを見ると二つの明かりが見えた。…車のヘッドライトだ。

『…追ってきてる』
「…っ!?まじだ!!」

凄いスピードでこちらに向かってきていた。十中八九奴等だ。…私たちはわざと街から離れている。それなのにここまで的確に追ってくるなんて。

『クラピカに連絡を』
「ああ!!…クラピカ!!もっと飛ばせ!!捕まるぞ!!」

…考えられるとしたら。

『貸して……クラピカ』
〈!…ルノか〉

少し遠くでクラピカの声がした。クラピカは運転席にいる。なら携帯を持っているのは隣のセンリツか。

『その男、もしかしたら発信器か何かついてるかも』
〈発信器……!まさか…糸!!〉

…やっぱりあった。携帯の向こうから発信器…相手の念が付いていたことを把握する。雑音の後、すぐに前の車の窓からスクワラが何かを投げていた。それが私の横を通る。…針、のようだった。凝をする。細い糸のようなオーラが後ろに流れていた。

私はそれに触れる。一瞬だ。持ったり長く触れたら相手に勘づかれる。
そのまま針は後ろへ飛んでいった。

「………」
「追ってこないぞ」

暫く経って、その言葉にもう一度後ろを確認する。確かに追手はいない。…うん、大分遠い。

「一瞬誰かが追手の車に飛び降りた様に見えたが」
「おそらく残りの陰獣だろう。クラピカ、今のうちに迂回して街へ戻るぞ」

リーダーが携帯越しに話す。"了解"と聞こえた。


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