碧に染まって
□たぶん夢
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_パチ_パチ
と音がした。
なにかが弾けるような、一度は何処かで聞いた音。懐かしさを感じる音。
それと、焦げ臭い。
なるほど。囲炉裏か。
囲炉裏にくべられた木が、パチパチと火の粉をあげて燃える。そんな音に似ている。
答え合わせでもするように、ゆっくりと目を開けてみる。
そこに囲炉裏は無かった。
しかし、火はあった。
おもむろに立ち上がってみる。
目の前には炎が広がっていた。
なるほど、これの音だったのか。
理解すると共にパチパチとした音が一層強くなった気がした。
ふと前に足を動かすと何かにあたる。
固くもなく、だからといって柔らかくもない。中途半端な感覚。
見るとそこには自分の右腕が転がっていた。
どうしてそれが自分の右腕だと直ぐに気づいたのか、それは解らない。しかし、実際に右を見ると確かに無かった。
理解すると共に左に体が傾いていった。そして重力に抗うことなく横になって倒れる。
衝撃は然程感じなかった。それよりも熱かった。特に右腕…いや右の断面といった方が正しいか…そこが焼かれたように熱かった。
いや、実際焼かれたのか。焼かれて落ちたのか。
煙が充満していた。灰色の煙が。
それは容赦なく目を刺激し、苦しくもないのに涙が出た。
熱い、熱い、それと目が染みる。
不愉快この上なかった。
ぼーっとしていたらやがて霞んできた。
霞んで霞んで、見えなくなった。
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