碧に染まって
□欠陥品
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飛び起きるように目が覚めた。
『………』
_ドクン ドクン
心臓に手を当てると激しく波打っていた。息が苦しい。動機がする。
……ああ、嫌な目覚めだ。
ここに来て初めて嫌な目覚め方をした。
『……』
周りに子供の気配はない。どうやらまだ来ていないようだ。
時計はクロロ少年がしっかり管理しているので何時かは解らない。しかし、彼が居ないということは所謂早起きなのか。
それはそれで丁度良かった。
こんな状況を見られたら心配されてしまう。
『…………』
…また、火事の夢を見た。同じ夢。それも前よりもリアルに。
以前はただ熱く、煙が目に染みるだけだった。
だが、今回は熱いのに加え苦しかった。痛みがないだけまだましだが。
…息が吸えないというのはあんなに苦しいものなんだな。
…………
段々と落ち着いてきた。
落ち着いてやはり夢について考える。
二回見た以上必ず意味があるはずだ。でないと私が納得しない。
『……とは言ってもなぁ』
ヒントが無さすぎる。
勝手な想像ならばいくらでも思い付く。
例えば、この教会にまつられている女神は、火に焼かれて死んだとか。もしくはこれは予知夢で、これからこの教会が燃えるとか。
実際、右腕を刺されたのは予知夢だった……んだよな?
いや、でも刺されると焼かれるじゃまた違うのか…でも感覚は似ていた。
『ああ、わからん』
教会には私ただ一人の声が響く。
こうしてみるとなんだか教会が広く感じた。原因は勿論、子供たちが居ないからだろう。…いつも起きたら居るもんな。
思い返せば初めはクロロ少年と私の二人だった。…それがこうも増えるとは。
増えて嬉しくない訳はない。
しかし、増えれば増えるほど居ないときの寂しさは倍増する。
『……早くこないかな』
なんだか無性に子供たちに会いたくなった。