碧に染まって

□欠陥品
1ページ/4ページ


飛び起きるように目が覚めた。

『………』

_ドクン ドクン

心臓に手を当てると激しく波打っていた。息が苦しい。動機がする。


……ああ、嫌な目覚めだ。


ここに来て初めて嫌な目覚め方をした。

『……』

周りに子供の気配はない。どうやらまだ来ていないようだ。
時計はクロロ少年がしっかり管理しているので何時かは解らない。しかし、彼が居ないということは所謂早起きなのか。

それはそれで丁度良かった。

こんな状況を見られたら心配されてしまう。


『…………』

…また、火事の夢を見た。同じ夢。それも前よりもリアルに。

以前はただ熱く、煙が目に染みるだけだった。

だが、今回は熱いのに加え苦しかった。痛みがないだけまだましだが。

…息が吸えないというのはあんなに苦しいものなんだな。

…………

段々と落ち着いてきた。

落ち着いてやはり夢について考える。

二回見た以上必ず意味があるはずだ。でないと私が納得しない。

『……とは言ってもなぁ』

ヒントが無さすぎる。

勝手な想像ならばいくらでも思い付く。

例えば、この教会にまつられている女神は、火に焼かれて死んだとか。もしくはこれは予知夢で、これからこの教会が燃えるとか。

実際、右腕を刺されたのは予知夢だった……んだよな?

いや、でも刺されると焼かれるじゃまた違うのか…でも感覚は似ていた。

『ああ、わからん』

教会には私ただ一人の声が響く。

こうしてみるとなんだか教会が広く感じた。原因は勿論、子供たちが居ないからだろう。…いつも起きたら居るもんな。

思い返せば初めはクロロ少年と私の二人だった。…それがこうも増えるとは。

増えて嬉しくない訳はない。
しかし、増えれば増えるほど居ないときの寂しさは倍増する。

『……早くこないかな』

なんだか無性に子供たちに会いたくなった。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ