碧に染まって
□毒される
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ここ数日ヒソカと過ごして思ったことだが、ヒソカにはどうも好んで悪いものを選択する趣向がある。
と私は思う。
見た感じは絶対に相手より下だとは思わないし、見た目も理解しているし、つまり自信家というか…。
けれど自分を酷く嫌っている。
だから良いことは選ばない。自分が幸せになるような選択はしないのだ。
…いや、しないというかできない…選び方を知らないのかもしれない。
自然と自虐を行ってしまう。
ヒソカを気に入っている私としては悲しいことだ。一緒に逃げたらそこら辺の性格も矯正して行きたい。勿論、無理矢理にはやらないけれど。彼らしさが失われたら意味がない。
だからこそ私と逃げるかどうかの選択は彼に任せる。
ここで私が無理やり彼を連れ去れば、彼は変わらない。従わされることなど慣れているだろうから。
意思のない人間は人形と同じだ。人形は好きだが、ヒソカをそうはさせたくない。
…彼はサディストだからもしかしたらこの環境を気に入ってる可能性もある。けれど、もし変化を望むなら私は全力で応える。
……ヒソカに少年たちを見せてあげたいな。彼らはズレてはいるが本能に従順で、なにより自由だ。
つまり、だ。ヒソカの子供の脳みそで大人なことを考えるひつようは無いのだ、と言ったら怒られるだろうが。
ヒソカは私を優しいと言った。
予想外だった。
私はヒソカに優しくした覚えはない。ただ私の中の自然な意思に任せて接していた。
なら…ヒソカ自身が私の行動、言動を優しいと感じていると言うこと。
私の普通が、彼にとっての優しさ。
…これは辛いな。一刻も早く彼を連れ出したい。
けれど我慢だ。
彼の意思を感じるまでは、我慢しなければならない。