碧に染まって
□正しいものを探している
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チリチリ チリチリ と耳障りな音がする。
ここは部屋の中だった。
炎に包まれているというオプション付きの。
…またか。と顔を歪めるがいつもと状況は異なっていた。
ここは、私の部屋ではない。
机もベッドも本棚も何もない、"箱"の様な部屋だった。…しかし、どこか懐かしさを感じる。初めての筈なのに私はこの部屋を知っていた。
『………』
ぼうぼうと燃えているのに私は動けなかった。体が椅子に固定されていた。
腕は肘掛けに鉄の枷のようなもので固定され、足は椅子の足に腕と同様なもので固定されていた。
その状態で私は、人の死を見せられる。
背後にプロジェクターでもあるのか、目の前の壁に映像が映し出されていた。…それが私にどう関係があるのか、気付いたのはプラムが死ぬ映像が流れた時だった。
_助けて あついよ 助けて
プラムは真っ黒な真っ赤な瞳で呆然とこちらを見て、そして袖の端から焼けていた。
焼けて 焼けて やがてプラムの体全体を包み込む。つんざくような悲鳴、それは長かった。
人が苦しんで死ぬ方法のひとつに焼死がある。炎、というのは簡単に死をもたらしてくれない。肌を焼いて肉を焼いて骨まで焼いて、やっと死ねる。
プラムが死んで、そのあとプラムの両親も同じように死んでいく。長老も、花畑で会ったパイロとクラピカも、見知った顔が見知った方法で死んでいく。
それも、何度も。
128人分をずっとずっと繰り返していた。
『………』
私はそれを呆然と見る。…自然と拳を握っていた。そのことに気づいて私は苦笑する。
羨ましい、だなんて。
最低だ、と思った。仕方ない、とも思った。
どうして生きたい彼らが死んで、死にたい私が生きているのか。
128度目のループを終え、129度目を迎える。
これが終わったら130だなぁと考える。
しかし、なぜか129度目は行われなかった。ただただ真っ黒な画面が流れていた。……機械の故障かな、と思うが生憎と振り向けないので確認は出来ない。
どうして急に。
129回目で。
……………129回目?
あれ、そういえばどうして128なんだろう。
死んだのは129人の筈なのに。
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