Parallel~B~
□憧れの人
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ガラス張りの大きな扉から中にいる人の姿が見える。
ほんの少し そこを通り過ぎるだけでもそれが誰かってわかる。
ふと ポケットから携帯を取り出して見るともう
ー22時。
扉の中のあの人は、休める事もなく手を動かしては真剣な眼差し。
いくら僕だってわかるんだ、
こんな時はこの扉から向こうの世界には入っちゃいけない。
…と、思う。
はっきりと言われた事はないけれど、
1度 作業中の時に何の気無しに入ったらあまりにもその空気の違いに
この扉のあちらとこちらでは別世界なんだと
感じたから。
きっと中から僕の姿なんて目に入ってないだろうけれど、邪魔にならないように扉の横に小さくしゃがみこむ。
ここなら あの座ってる回転椅子で振り返っても僕の姿は見えないはず!