Parallel~B~

□憧れの人
1ページ/7ページ

ガラス張りの大きな扉から中にいる人の姿が見える。

ほんの少し そこを通り過ぎるだけでもそれが誰かってわかる。
ふと ポケットから携帯を取り出して見るともう

ー22時。

扉の中のあの人は、休める事もなく手を動かしては真剣な眼差し。
いくら僕だってわかるんだ、
こんな時はこの扉から向こうの世界には入っちゃいけない。

…と、思う。

はっきりと言われた事はないけれど、
1度 作業中の時に何の気無しに入ったらあまりにもその空気の違いに
この扉のあちらとこちらでは別世界なんだと

感じたから。

きっと中から僕の姿なんて目に入ってないだろうけれど、邪魔にならないように扉の横に小さくしゃがみこむ。

ここなら あの座ってる回転椅子で振り返っても僕の姿は見えないはず!
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ