どうにでもなれ

□に
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あの悪夢のような日が過ぎてからのもの、体育委員委員長である七松先輩に出会えば委員会に誘われる毎日。わたしが走って逃げれば走って追いかけてくることをやっと学習した。七松先輩に追いかけられるのが超怖い。なんか獲物として見られてる気がするんだ。食べられそう。

昼食の為、食堂に来ている。ランチを受け取り、奥の席に座る友たちのところに向かって歩いていると七松先輩に腕を引っ張られランチを落としそうになる。ちょ、いつの間にいたんだあんた。

「シズ!」

ああ今日も素晴らしい笑顔ですね。…じゃなくて、

「ランチ落ちそうになったじゃないですか!気をつけてくださいよ」

これを落としたらわたしランチ抜きなんだから!食べ物の恨みは怖いからね!
すまんすまんと笑いながら謝る七松先輩。この先輩本当に申し訳ないと思ってんの?その笑顔見たら許しちゃうんだけど!もう、わたしったら甘い!

そして未だにわたしの腕を掴んでいる七松先輩。なんなんだこの人。先に席について昼食を食べ始めている友人と目が合い、助けを求めるが、サッと目を逸らされた。完全に関わりたくないオーラがでている。それを見ていた七松先輩に見捨てられたか!と笑われた。もう〜〜!!お前だよ!原因!とも言えずに口を噤む。


「小平太、お前は何をしているんだ」

と、小平太先輩の机に座っている目の下に隈がある六年生が、呆れた様にわたし達二人を見ていた。に、忍たま六年生がみんな集まって食べてるよ…。話しかけてきた隈六年生の所為で他の六年生も皆こっち見てるし…怖い。でもわたしはご飯が食べたい。でも怖い。でもわたしはご飯が…

「ああ、シズで遊ぶのが楽しくて」
「わたしで遊ばないでください!」

そんな率直に言われるとむしろ清清しいけど、やっぱり後輩で遊ぶのはいただけないね!!

「シズの反応が面白くてな」

誰でも同じ反応するっつーの。というかいい加減腕放してほしいです。何時まで掴んでるのいい加減腕疲れてきたんだけど。

「あの、離してください。早くご飯食べたいんで。」

さすがご飯のことになると少し強気になってしまうが、仕方がない。お腹が空いているもの。
すると、そろそろ離してやれよ、とサラサラストレートヘアランキング一位を獲得した立花先輩からお声が掛かった。もっと言ってやってください。そんな立花先輩が七松先輩の手を外してくれた。七松先輩あなたは子供か。そんな可愛いらしく拗ねた顔しても構いませんからね!

「小平太が迷惑をかけた」

立花先輩がわたしを覗き込みながらそういうものだからわたしは

「ほんとちゃんとしつけ…」

って、ああああああああ!危ない!躾けといてください、なんてわたしは失礼なことを…!いくら七松先輩が子供っぽいからって…!ギリギリセーフだよね?みんな聞いてないよね…?六年生を見れば七松先輩以外見事にカチ、と固まっていた。アウトォオオオ!絶対バッチリ聞いてるううう!

「じゃなくて!違うんです!あの、わたしはほんと気にしてないので!ああああ、あの!七松先輩ごめんなさい!」

血の気が引いていく感覚にわたしは終わったと思ったのだけど、四人の六年生が笑い出した。これはおもしろい、なんていう立花先輩。全然面白くないですから!そう言われても仕方ないな、なんて食満先輩、同感しちゃっていいんですか。駄目でしょう。ああもうほんとわたしってバカ!七松先輩ごめんなさい、と七松先輩を見れば、私は先輩だぞ?と言ってわたしの方に手を回してきた。本当に失礼いたしました。と言いつついまだ手に持つランチだけは死守したいと思う。
すいません、と謝るのだが顔を近づけてくる七松先輩に若干めんどくせえと思い始めてしまったわたしだった。七松先輩もわたしを遊び道具としていたみたいだし、今日はここで勘弁してくださいほんと。

「一緒に食べるかシズ」
「それは遠慮します」



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お試しで2話更新です。
主人公さん割と毒吐くじゃないか…
でも嫌いっていうわけではないんです。



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