どうにでもなれ

□ろく
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七松先輩の夜の鍛錬に連れられ裏裏山にやってきました、わたしです。三日に一回、夜中に叩いて起こされこうやって連れて行かれるわけだが。寝ている所を邪魔させるのは少し抵抗があるので、今日は起こしに来るだろうと準備して待っていたら起こしに来ないし、今日は起こしに来ないだろうと布団に入れば叩き起こしに来るしで、お前絶対狙ってきてるだろう!という具合に全く噛み合わないでいた。気持ちよく眠ってるところを起こされると腹立つんだよなあ…!だけど、鍛錬に連れて行ってもらっているのでその言葉は心のうちにしまう。
毎回の疑問なんだけど、七松先輩はどうやってくのたま長屋に侵入しているんだろう。でも七松先輩という名の暴君だ。くのたまのトラップなんて容易いのでは。という事でわたしの中で勝手にまとめた。というより、考えるのが面倒くさくなった。

今日もぼやけた頭で色々と巡らせ七松先輩の後について行くと、急に立ち止まった七松先輩。何やら気配がした。ここは学園内裏裏山の木々の中。人が居るとしたら、生徒か。もしくは外部侵入者か。わたしと七松先輩はその気配に警戒し構える。ガサガサとそのものが姿を現す。陰を見れば頭に角のようなものが生えているではないか。…角……?

「お、おお鬼だ!」

背筋が凍る思いで思わず七松先輩の背中に抱きつく。鬼が本当に実現したとは!学園七不思議は本当だったんだ!!ギンギンと鳴く鬼…。…あれ?
何やら違和感を感じ、七松先輩の後ろからそっと鬼の方を見やる。月明かりで露になったそれは頭に苦無を縛り付けた鍛錬中の潮江先輩だった。

「人を鬼呼ばわりとはなんだ。」
「なんだ、潮江先輩か…驚かせないでくださいよ」

安心と、それと同時に期待も外れ肩を落とす。七不思議って潮江先輩だったんだ…。なんだよギンギンって。わけわかんねえ。期待するわたしが馬鹿なんだろうけど。

「別に驚かしたつもりはないが」
「驚かす気満々じゃないですかその頭。おかしいですよ。」
「おかしいってお前な、そんなはっきりと……どうした、小平太」

わたしから七松先輩に視線を移した潮江先輩の言葉にわたしも七松先輩を見上げる。そういえばなんだか不自然に大人しい。どうしたの、七松先輩。もしかしてギンギン鬼にビビっちゃったんですか。七松先輩はわたしから目を逸らし、眉を寄せ唇を噛み締める。え、どうしちゃったんです!?いつもの七松先輩が息してない!というよりわたし何かしでかした!?

「…いや、どうもしないぞ?」
「ならいいが…」
「文次郎、これから鍛錬か?それなら私達と一緒にしよう」

心配するわたしの視線をガン無視な七松先輩は潮江先輩と会話中。き、傷ついてなんかないけど、いつもの七松先輩はここに居ないようだ。眠いのかな…。わたしと全く目を合わせない七松先輩に少し寂しさを感じる。眠い、そういう事にしておこう。そうしておかないとなんだか、わたし悲しくなっちゃうから!

「俺はいいが……いいのか?」

と、チラチラとわたしの方を気にする潮江先輩。え、あ、わたしが邪魔ってことですよね。そうですか。そうですよね、五年のくのたまが六年生の忍たまの鍛錬に付いていける筈がないですもん。

「わたしただの足手まといですよね。わたしの事などお気になさらず、どうぞお二人で鍛錬なさってください」
「あ、いや、そういう意味じゃなくてだな……」

じゃあどういう意味なんですか。潮江先輩がはっきり言わないなんて珍しい。モジモジしちゃってどうしたんですか、もじもんですか。いちゃもんと同等で気持ち悪いですよそれ。

「文次郎、構わないぞ!なあシズ」
「え!?はい!」

七松先輩に同意を求められるも、やはり目は合わせてくれない。七松先輩はそう言ってくださったけど、本当にどうしたんだろう。変なもの食べたとか?なんだか有り得るから怖い…。七松先輩の様子がいつもと違うとこうも落ち着かないとは…。
潮江先輩は安心したように少し笑って、頭の苦無を取っていた。寂しさを感じながらも、なんだかその光景が可笑しくて笑っちゃいそうになった。


「わたし、お邪魔ですよね…っ」
「あのなシズ、それはないから安心しろ。小平太がお前を置いていくことがあったか?」
「え、めちゃめちゃあったんですけど」

七松先輩がなんだかいつもと違って寂しいけど、潮江先輩のそのお茶目さで元気でました。ありがとう、もじもん。


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夜の鍛錬(意味深)
こへは主人公の急なスキンシップ()に戸惑っています。それがなかなか表現できません。文才がこい状態ですね。勉強します。

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