いちばん!

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平滝夜叉丸さん。
戦輪を扱えば忍術学園ナンバーワン、成績優秀容姿端麗!まあそこまではいいとする。だけど、なにやらものすごく自信過剰…いわゆるナルシスト。その癖の強い性格の所為で後輩みんなに嫌われているらしい。後輩みんな?すごいなあ、ある意味有名人だ!なんて馬鹿な事を考えてるわたしの目の前でくのたま後輩にボロッカスに言われているその人を同情をする。自分とは関わることはないだろうし、わたしもあまり興味はなかった。
何度か食堂で見たことあるけど、うん、確かに整った顔立ちをしていたような気がする。近くで見たことないからわからないけど。


などと、話していたのはついさっき。その時あまり…というか全くといっていいほど興味がなかったのだけど、あの目立ちたがり屋且つ自慢したがり屋さんの平くんがひとりで庭を歩いて行ったの見かけたので好奇心に負け気配を消して後をつけてしまった。
悪いと思っていてもやっぱりわたしもくのいちのたまごだし、ちょっとだけならいいと思わないかい。


学園の敷地内のあるところで気配はとまった。あれ?なにしてるんだろう…?

わたしは木の陰に隠れて覗く。すると、そこには戦輪を構え、軽やかに投げる平くんの姿があった。
あ、自主練習かな…?平くんの自信過剰の部分はやっぱり口だけじゃなかったんだ!天才は努力しての天才だもんね。偉いなあ。

平くんは噂に聞き想像していた人とはだいぶ印象の違う人だった。少なくともわたしの中の印象はがらりと変わった。やっぱり噂は噂。今の平くんは輝いていて、とてもかっこいい。



ボケーッと思わず見惚れていると、突然戦輪が二つ、わたしの方目掛けて飛んできた。ひいいと悲鳴を上げそうになったけど、なんとか飲み込み木の陰に隠れる。


「誰だ!」

し、しししまったああ!気配を消すのを忘れて見つかっちゃった!!どどど、どうしよう!?
今更気配を消したってもう遅い。平くんはわたしが出てくるのを待ってるのだろう。ピリピリと殺気が漂っている。

ど う し よ う 殺 さ れ る


なんて言い訳をしよう!?知り合いでもなんでもないくのたまが突然姿を現したら、絶対不審に思うよね!?平くんの後を付けてきた理由なんてただの好奇心だし…。性格がカスという噂を聞いたので後をつけてきましたッ!てへ、なんて言える訳がない、絶対に。ああ、好奇心に負けたあの時のわたしを助走をつけて殴りたい。

いつまでも隠れていても余計に怪しまれるだけなので、とりあえず木の陰からチラリと頭を覗かせる。案の定平くんは、は?と言いたげな顔をして驚いていた。というか、実際には?という声が聞こえた。オロオロと挙動不審な動きで木の陰から姿を現す。


「えっと…、」

やっぱり近くでみると、すごく整った顔立ちをしていらっしゃいました。うう、ごめんなさい。睨まないでくださいその目怖いです。美青年に睨まれるのがこんなにも辛いとは思いませんでした。


「あの、ですね…」
「お前、私のファンだな?」
「あ、はい。なんでもしま……えっ!?」

もしかしなくても平くん今、私のファンって言った?それ!!それでいこう!色々ツッコミたい事あるけど今はそれに乗るしかない!
平くんのファンで、憧れすぎて後をつけてしまいました、ごめんなさい、で行こう!…この設定ちょっと無理があるかな?大丈夫だよね、平くんだし!


「はい!わたし、あなたのファンです!」






 

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