いちばん!

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不審者からのファンです!宣言をまさかの簡単に信じちゃった平くん。殺気はなくなったものの、あれから平くんの自慢話を散々聞かされる羽目になってしまった。ああ、だんだん説教されてるような気がしてきたよ。これは平くんの後を着けた罰なのでしょうか、神様。

平くんはやっぱりこんな人でした。噂とは違う一面を見て、わたしだけ本当のあなたを知っているわ、なんてわたしは馬鹿か。平くんは噂通りの人でした。残念すぎる。


「やはりナンバーワンという数字は私に相応しい!!」
「はい!そうですね!」


まだ続くのだろうか、と思えばお腹が空いてきた。そういえばもうすぐ夕飯…。わたしは夕飯にありつけるのだろうか。このまま一生平くんの話を聞き続けなければならないのだろうか。ああ、帰りたい。聞いているのか?と言う平くんの声が微かに聞こえる。頭の中はハンバーグの事でいっぱいだったわたしがもちろん話を聞いている筈がない。

そして平くんの問いにわたしは腹の虫で返事をした。


「………」
「………………」


少しの沈黙の後、ぷっと吹き出した平くんに、顔が熱くなる。は、恥ずかしい…!
俯くわたしに平くんはすまん、と笑いながら頭を撫でてきた。そんな平くんの行動に更に顔が熱くなる。平くんってこんな事する人だったんだ…笑われてるけど、なななな撫でるなんて…!


「腹が減っていたのか」

そう言いつつ半笑いの平くん。これほど落とし穴に落ちたいと思った事はない。夕刻ですから!そりゃお腹空きますよ!と言えば平くんはまたニヤリと笑い出すのだ。


帰りにチラリと見えた戦輪を持つ平くんの指。そこにはやはり努力の跡があった。
つらつらと自分のことを良く話す彼の横顔を見ると、彼の自慢話も悪くないかなと思えないこともない。





 

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