いちばん!
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「おい、そこのくのたま」
彼の存在をすっかり忘れていたある日の事。中庭を歩いていると彼、平くんが話しかけてきてくれたのだ。
「あ、平さん。お久しぶりです!」
にこにこと平さん、わたしの事覚えててくれたんですね!と言えば、まあ成績優秀なこの私が忘れるわけないだろう、とかなんとか言ってまた始まってしまった。あーああ…ひさしぶりだけどやっぱり話長いなあ。うんうん、と頷いていれば調子に乗りはじめた平くん。わたし、もう行っていいかな…。
「時にくのたま」
こっそりと逃げてしまおうかと忍び足を一歩出せば、平くんにバレてしまった。流石四年い組の成績優秀!
「お前の名は何という?」
な、なんだバレてはなかったみたいだけど、平くん、すごい今更だけどわたしの名前知りたいんだ?平くんってば他人には興味無さそうだからわたしの名前なんてずっと『そこのくのたま』かと思ってたよ。なんて少し嬉しくなった。
「名乗ってなかったですよね、すいません。わたしはくのいち教室の結城千鶴です。」
「ちなみに私は…」
「あー!知ってます!!!平さん有名ですから!!ね!!」
流石私!なんて言ってどこからか薔薇を取り出し背景にばらまいている平くん。その技術は君にしかできないよ。
素直に誉めていると、見るからにご機嫌な平くんは戦輪を披露してやると言ってきた。
平くんの戦輪、かあ…。平くん、自分でナンバーワンと言うだけあって本当に上手いから、ちょっと見たいかも。それに戦輪を投げる平くんの姿、かっこよくて好きだ。
「はい!お願いします」
戦輪を自信満々に投げる平くんの姿はやっぱりかっこよかった。
かっこいい、と見惚れていたその直後戦輪の事を輪子と呼び、愛でだしたのを見て平くんがゴミにしか見えなくなった。
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