いちばん!

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どうも、千鶴の同室のサエです。本当はサエコなんだけど、みんなからサエって呼ばれてます。
って、そんなことはどうでもよくて!最近、千鶴がなにやら滝夜叉丸とやけに仲がいいのです。人見知りで友達を作れなかったあの子がどうしたものか。最近食堂でも忍たまの四年生と親しげに挨拶をしているのをよく見る。ただしかし、滝夜叉丸に対してだけ少し扱いが違う。……怪しい。ただの友達ではない気がしてならないのです!



夕食の時、食堂に行くと端の方でひとりポツンと食事を取る千鶴を見かけた。定食を持って千鶴の前の席に行くと、汗臭いから!と左の手のひらを見せてきた。なにやら近寄って欲しくないみたいだったけど、かまわず千鶴の前に座ってやった。一体何したの?とご飯をかきこんでいる千鶴に問う。

「行儀悪いわよ」

そう言えば周りを見渡して大人しく口を動かし始めた。なぁに、この子。いつもおかしいけど今日いつもより酷いんですけど。ごくん、とご飯を飲み込んだ千鶴が口を開いた。


「今日、体育委員長にマラソン付き合わされた」
「あぁ…」

体育委員長っていつもいけいけどんどん言ってるあの先輩ね。噂に聞くと暴君だそう。しかもマラソン嫌いなあの千鶴が。思わず目の前の友人に同情の目を送る。


「しかし、体力がない千鶴がよく夕食前に帰ってこれたわね。」
「否定はできないけど失礼な!」

本当のことだから仕方ないわよ、と言えば突然頬を赤く染めた千鶴。私今、結構な事言ったわよね?…この子そろそろヤバイんじゃない?


「なによ、きっもち悪いわね」
「えっへへー走りきれたのは滝夜叉丸くんが応援してくれたからかなー!」

そうデレデレと笑ってる友人を見て納得した。この子、こんな趣味だったかしら…。
まあ、人付き合いが苦手だった千鶴が好きになったんだから何も言わない。私はこの友人に協力しよう。そう目の前でにやけてる友人の顔を見て決めた。……だらしないわね。


「ちょっとサエちゃん!」

こっちきて、と手招く千鶴。黙って顔を寄せると

「滝夜叉丸くん石鹸のいい匂いしたんだけど」

と意味のわからない爆弾発言をした。はあ!?


「そんな情報いらん!!」




 

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