いちばん!

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体育委員のバレーは怖いのだけど、わたしでも弱音を吐かずになんとか休憩時間まで持ち応えてみせた。始めはなんでわたしが体育委員と一緒に命がけでバレーなんかしないといけないんだ…、と思ってたけど、滝夜叉丸くんいるし、下級生はみんなかわいくていい子だから許す。今では完全に警戒を外してくれている下級生が居た。約一名生意気だけど。


「結城先輩って七松先輩とどんな関係なんですか?体育委員じゃありませんよね?何故七松先輩に連れてこられてるんですか?」

え、ちょ、金吾くん?質問はひとつづつしてくれないかなあ?

「えーと、七松先輩とは赤の他に…ただの先輩後輩の仲だよ。七松先輩とまともに会話したことありません。わたしが暇そうだから人数合わせに連れてくるんじゃないかな?っていうかそれしか考えられないんだけど」

そう答えると、そうだったんですかと納得していただけたようだ。不思議だよね、なんで七松先輩はわたしを巻き込むんだ。ほんとなに考えてんだあの人。でも七松先輩が巻き込んでくれなかったらこうやって金吾くん達と仲良くできなかったんだよね。でもほんとそこだけだから!!
少し怒りに悶々としていると、四郎兵衛くんにクイクイと袖を引っ張られた。

「千鶴先輩は、なんで、僕達と一緒にバレーをしているんですか?」
「わたしが聞きたいよ。」

わたしもやりたくてやってるわけじゃないからね?どっちかというとやりたくないからね?だって遊びなのに死ぬかもしれないんだよ?何が楽しくて命かけて遊ばないといけないの、って話しです。


「何歳?」
「…13歳なので滝夜叉丸くんと一緒ですね」

ちょっと待って?三之助くん年下だよね?思わず、ですます出ちゃったじゃないか!


「こら!三之助!先輩には敬語だろう!」
「はい」

その二人の会話を聞いてると、滝夜叉丸くんもちゃんと先輩してるんだな、と改めて思った。三之助くん、わたしが同い年くらいに見えるんでしょうね。もう慣れました。


「あ」
「千鶴先輩、どうしたんですか?」
「滝夜叉丸くんも前に、わたしの事年下だと思ってた頃あったよね」
「う、それは…」
「優秀な滝夜叉丸くんでも勘違いしちゃうんだから三之助くん気にするな」
「滝夜叉丸と同じ勘違いってのが嫌だけど、やっぱりどう見ても結城先輩が滝夜叉丸と同い年とは思えない。姿はともかく中身とか特に」

この子、滝夜叉丸くんだけ見事に呼び捨てだ!…じゃなくて!中身とか特に、ってアホっぽいってことですよね…やっぱり気にしてる事言われると傷つくッ!でも、三之助!私も先輩だから!と怒る滝夜叉丸くんを見たらなんか笑えてきた。あはは、と笑っていると滝夜叉丸くんにギロリと見られた。あ、すいません…。


「いけいけどんどーん!」

そんな掛け声と共に現れた七松先輩。七松先輩一体いままでどこにいってたんだろう、もしかしてまた裏裏山に…七松先輩ならおかしくない。なんて考えていたらいつものように七松先輩に担がれた。なんで!

「よーし!塹壕堀りにいくぞー!」
「いや、駄目ですよ。…っていうか、なんでいちいちわたしを担ぐんですか!」

「え?なんでって…柔らかいから」
「…はあ!?」

そんな発言をした七松先輩。思わずわたしは七松先輩の後頭部を肘打ち、体が歪んだ隙に腹を蹴った。いつもならこんなことできないけど、火事場の馬鹿力ってやつで七松先輩の腕から逃れる。体重とか気にせずにばかばか食ってたからか!?嘘ー!こんな無自覚助平な七松先輩に気づかされるなんて…。
問題発言の張本人はいてぇーと頭を摩っていた。…ちょ、ちょっと先輩に対してこれはないんじゃないか、わたし………いや、でも七松先輩にはこれくらいして当然…!


「七松先輩の助平!!」
「な、七松先輩なに考えてるんですか!」

滝夜叉丸くんが前に立ちはだかってくれた。滝夜叉丸くんの背中に隠れて七松先輩を盗み見る。七松先輩はそんな怒らなくても〜冗談冗談!なんていっている。一体なんなんだよ、この先輩ー!わたしはさり気無く二の腕の肉を確認。まだ大丈夫だと思ってたけど………ショックだ……。


「私のファンに手を出さないでくださいよ!」
「滝夜叉丸、ほんの冗談だ!いい匂いがするのは確かだが」


馬鹿か?この先輩馬鹿だよね?




 

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