いちばん!

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サエちゃんに見送られ、待ち合わせ場所に向う。待ち合わせ場所である門の前に行くと、既に滝夜叉丸くんが来ていた。おおおお!私服の滝夜叉丸くんも新鮮でかっこいい!一人佇む姿も絵になるのに!普段の滝夜叉丸くんが脳裏に浮かび上がる!
見ていたいけど、そういうわけにもいかない。少し息を殺して近寄ってみた。


「おまたせ!ごめんね、待った?」
「お、千鶴か。いや、私も今来たところだ。」

会ったばっかりなのに滝夜叉丸くんが目を合わせてくれない件について談議開始。
…ええ!なんで?…あ!わたしのいつもと違う姿がやっぱり似合わないとか!?滝夜叉丸くんの癖に、わたしに言ったら傷つくからって気を使ってくれてる!?折角サエちゃんがセットしてくれたのに…。サエちゃん、ごめん。滝夜叉丸くんはお気に召さなかった様だ。

「滝夜叉丸くん、私服姿もかっこいいね」
「え、あ、ああそうだろう?」

でもまあ本題はそこではない。今日は普段お世話になってる滝夜叉丸くんにお礼をしようと約束した日!うん、楽しもう!


「お二人でおでかけですか?」

そこに体育委員の金吾くんと四郎兵衛くん二人が近寄ってきた。竹刀を持っている金吾くんに、手ぬぐいを握る四郎兵衛くん。二人は鍛錬かな?

「うん。ちょっと滝夜叉丸くんと町に」
「結城先輩、かわいいです」

そうわたしを見上げ、嬉しいことを言ってくれた四郎兵衛くん。本当?と聞けば二人はうんうん、と頷いてくれた。お世辞かもしれないけど、そう言ってもらえてやっぱり嬉しくなり、だらしなく笑う。やったよサエちゃん!これも全部サエちゃんのおかげ!


「千鶴!そろそろ行くぞ。日が暮れてしまう」
「うん、そうだね。行こうか」

後輩に構ってもらえなくて拗ねてるのかな?滝夜叉丸くんにはわたしが何度でもかっこいいって言ってあげるのに。
滝夜叉丸くんに腕を引かれ急かされる。そんなに急がなくてもまだまだ日は暮れないよ、と笑いながら金吾くんと四郎兵衛くんに手を振る。別れ際の二人の顔は何かを悟っている様に生暖かい笑顔だった。



 

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