いちばん!

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「甘味処でも行くか」
「うん、餡蜜食べたい!」

滝夜叉丸くんと並んで餡蜜を食す。うーん、甘くて美味しい!今日だけはダイエットという言葉は忘れよう!このまま一生忘れそうだけどね!!
滝夜叉丸くんを見れば、こっちを見ていた様で目が合った。微笑んでいたようだけど、直ぐに逸らされる。…………最近、滝夜叉丸くんのそんな顔にきゅんとくるんですよ!もうどうしちゃったんだろう。どや顔ではそうでもないのに。……もうちょっと御しとやかに食べよう…。


「こうして千鶴と美味しいものを食べれる私は幸せ者だ」
「うん、わたし運がいいのかも……え?ええ!?」

ちょっと待って?今、滝夜叉丸くん何て言った?わたしの空耳だったんだろうか?滝夜叉丸くんが言い間違えていたんだろうか?間違えていたとしてもそれ口説く台詞だから!

「た、滝夜叉丸くん、今自分が幸せ者だって言ったの?」
「あ、ああそうだが」

少し照れた顔でわたしを見つめてくる滝夜叉丸くんに、顔が熱くなる。間違えてなかっただと…?てっきり千鶴は幸せ者だな、って言うかと思ってた…!あの滝夜叉丸くんが…わたしと居て幸せ…?それって…どういうことなの!?滝夜叉丸くんを見れなくて俯く。

「…、」

どうしたらいいのかわからなくて自分の手を見ていたら、そこに滝夜叉丸くんの綺麗な手が伸びてきた。

「!?」
「す、すまん!」

思わず、と引っ込める手。体中の血が顔に集中している様だ。お互い真っ赤な顔をして照れくさい空気が流れる。こ、こんなの慣れてないから…!どうしたらいいのかわからないよ…!


そろそろ行こうか、と二人で席を立つ。サエちゃんのお土産に団子と、あと滝夜叉丸くんへの贈り物を買う。帰路に着く頃には町は夕日で赤く染まっていた。滝夜叉丸くんのお礼に、と選んだく櫛と結い紐を手に持ってると誰かに贈り物か?と聞かれたんだけど、うん、と答えればそれは誰かと要求はされなかった。…ん?なんだ?この言い方だと要求されたかったみたいじゃないか。

忍術学園への帰り道。今日珍しく口数が少なめだったのに、更に少なくなってしまった滝夜叉丸くん。それに釣られてわたしも少し黙る。…滝夜叉丸くんに買った物、渡しちゃおうかな。今しかない気がする。


「滝夜叉丸くん」

並んで歩いていた足を止める。少し前で振り返る滝夜叉丸くんに紙袋を見せ、

「これ!滝夜叉丸くんに!」
「わ、私に…?」
「うん。さっき買ってたやつなんだけどね。滝夜叉丸くんにはその美しさをいつまでも保っていて欲しいから」
「千鶴…」
「いつもありがとう。…受け取ってくれる?」

少し照れながら紙袋を差し出すと、そっと受け取ってくれた。よかった!

「ありがとう、千鶴」

滝夜叉丸くんを見上げると、少し俯いている。夕日に照らされて分かりづらいけど、滝夜叉丸くんの頬は赤く染まっていた。そんな滝夜叉丸くんも絵になるので困る。

「夕日、綺麗だね」
「ああ」

そう言って歩き出せば、滝夜叉丸くんに手を握られる。…え、ちょ、えええ!これって…!この雰囲気はアレなやつですよね……アレってなんだ!?ああああ手汗すごいから…!と、手を離そうとすれば強く握り返された。


「だ!だが!夕日より千鶴の方が……綺麗だ」
「……あああ、ありがとう……………嬉しい…」

二人の顔は夕日に負けないくらい紅かった。




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 あとがき
あああああああ書いててすごく恥ずかしかったです!
滝は相手を口説く言葉とかスラスラ言えそうですけどね。私の書く滝は何故か初々しくなります。お決まりの口説き文句しか言えない。私の理想の滝がこれです。
ストーリーやオチなど全く考えずにひたすら妄想を書きなぐってましたが、そろそろ終盤にさしかかります。(ていうか早く終わらせたいです)
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます!

 むひ
 

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