【金爆】夢小説(長編)
□きみいろサンシャイン9
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夢みたいだ。
ボウリング場でスコアを眺めながら、心の中でつぶやく。
「よしっ、次はオレの番だな!」
「喜矢武さんがんばってー」
「おう」
「がんばれ喜矢武さ〜ん」
「樽美酒! お前にだけはぜってー負けねーからな!」
「波川、飲み物いる?」
「あ、今は大丈夫」
すごい。
僕の周りにこんなに人がいるなんて。
中学までは前髪を伸ばすことで外の世界をシャットアウトしていたような自分が、今じゃこの輪の中に入っていられるなんて。
お誘いをいただいた数日前のことを思い出す。
「そういえば鬼龍院さんは音源ってどうしてるの?」
「それはバンドをやってる知り合いに頼んでるんだ」
「へー…鬼龍院さんって顔広いんだ。やっぱり尊敬せずにはいられない」
「いやいやいや…」
そんな会話をしていたら、ノックの音が部室の中に響いてきた。
今までこの部活にお客さんなんて来なかったものだから、僕らはそろって顔を見合わせる。
恐る恐るドアを開ければ、そこにいたのは僕らのよく知る三人だった。
先頭の波川さんは控えめに僕ら三人の顔にそれぞれ目をやって、
「あ、あの…突然お邪魔してすみません。会議中でしたら出直しますけど…」
僕はさながらヘドバンのように首を横に振る。
「どうぞ座ってください」
淳くんは気を利かせて三人分のイスを用意してくれた。
なぜか樽美酒くんだけはのんびり立ち歩いて部室内を眺めていたけど。
イスに腰掛けた姿勢のいい波川さんが、再び口を開く。
「実は、ボウリングのお誘いなんですけど…」
「ボウリング!?」
窓に背をもたれていた豊が目を輝かせた。
「はい。学校祭が終わって私たちもみなさんもひと段落ついたでしょうし、打ち上げがてらにと思いまして…」
いかがでしょう?と微笑む波川さんに、僕は学祭の疲れなんて蹴り飛ばして、メンバーが引くくらいの勢いで頷いた。