八犬伝
□風邪引きさんにご用心
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いつもなら、俺より早く起きているはずの荘介が、今日は起きてこない。
朝飯の時間なのに、珍しいな。
そう言えば、昨日はなんだか『体が重いので今日は早く寝ますね。』
なんて言ってた気がする…
って!
おい、それって…
「そーすけ!!開けるぞ」
返事も待たずにずかずかと部屋に入ると、やはり荘介は布団にくるまって横になっていた。
「信乃…?」
布団から覗いた荘介の顔は、いつもより血色が悪く、怠そうだ。
「風邪、だな。」
「すいません…」
すまなそうに眉を下げる荘介に、信乃はいいから寝てろ。と一言言って頭をぽんぽんっと撫でた。
「水と朝飯持ってきてやるから、ちゃんと寝てろよ!!」
そう言って信乃はバタバタと出て行った。
「信乃…」
荘介は、朦朧とした意識の中で、信乃の後ろ姿を見つめるしか出来なかった。