…would,
□第三章
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「美琴ちゃーん?」
新羅さんのマンションを出て、ふらふらと歩いていたところで後ろから声がかかった。
どこか面白そうにしている声で私の背中に話し掛ける。
「ねえ、どこ行くの?」
「家に帰りますよ」
「さっきから迷いそうにきょろきょろふらふら歩いてるのに?池袋初めてなんだろう?見てればわかるよ」
「……まあ」
折原臨也。作中で私が一番に好きだったキャラクター。
だけどこうやって話すとなるとどこか身構える自分がいた。
「どこに行くの?送るよ」
「あー……」
ここで夜が過ごせるわけが無い。
それは分かってる。
さりなに言われて制服だし、鞄も持たないというのは正直不安だ。
そんな私の不安に漬け込むように、彼は私を見てにやりと笑った。
「それとも……お金が要らない安全な宿泊場所、教えてあげようか」
やっぱりここは夢の中かもしれない。
こんな怪しい言葉に頷いてしまったのだから。
どうにでもなれって気持ちと、ちょっと面白そうって好奇心と、せっかく好きなキャラクターなんだしとかいう悪戯な気持ちもあったと思うけれど。