…would,
□第十章
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『手伝ってくれるかな』
セルティさんにPADを差し出された私は、逃げ出す那須島隆志を一瞥して春奈さんの怪我に気を付けながらセルティさんの肩に担がせるのを手伝った。
『悪いけど、この子を担いだら美琴ちゃんと友達を乗せるのは無理だと思う』
「大丈夫ですよ。自力で帰れますから、水希ちゃんも私が送りますし」
セルティさんがバイクに跨がる傍らで、罪歌の呪縛から解けた瞬間に気絶してしまった水希ちゃんの頭を撫でた。
「え……?」
振り返った杏里ちゃんはそんなわたしたちを見て混乱したようだった。
『ああ、実は結構前から見てたから、事情は大体分かった。
この子は俺が知り合いの闇医者に見せるから、取り合えず安心しておいてくれ』
「セルティさん!あの、私……!」
『謝るな』
大文字でそう突き付けて、セルティさんは続ける。
『自分が正しいと思うことをやったんだろ?
実際あの場じゃあれが正しいと思う。
……まあ、首を飛ばすのはやりすぎだとは思うが、それは後で【罪歌】に文句を言うとしよう』
そのまま杏里ちゃんに顔を近づけて、
『同情してるわけじゃないぞ』
『ただ――戦っても、勝てる気がしないだけだ』