…would,
□第七章
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「……雨だ」
朝、サアサアという雨音で目が覚めた。
昨日、静雄が撃たれた。
あまりにも立て続けに混乱が続いて時間感覚が狂っていたけれど、昨日寝る寸前に臨也のところに連絡がきて思い直したのだ。
――もうちょっと先の話かと思ってた。
――昨日行動していたら、私には何ができた?
そう思うと胸が痛むけど、きっと未来を変えようとは思わなかっただろう。
結局私は自分の身体がかわいいだけなのかもしれない。
未来を変えて自分が知らない世界になって、それで困るのは結局私だけなんだ。
「なに難しい顔してるの」
掛け布団がガサゴソと動いて、私を抱いている腕が頭を撫でた。
「……考えごと」
「そう……嫉妬するね、あの化け物が美琴にこんな顔をさせてると思うと。まあ、そうか……その顔を見る限りだと、まだ死んでないんだね」
「……なんのことだか」
「さあねえ……俺に今分かるのはせいぜい、美琴の可愛い反応を見て読み取れる範囲ぐらいさ」
「私が知らないことだって知ってるくせに、嘘つき」
その言葉に、臨也はクスクスと笑って私の頭を二三度掌でぽんぽんと叩いた。
「さて、そろそろ起きようか」
「あれ、今何時……?ちこく、」
「今日もお休みだよ、学校は」
「臨也……」
「なに?」
起き上がりながら、思いつきで言った。
「ならフレンチトーストが食べたい」
どうせ学校には行かせてもらえないし、せめてもの抵抗なのだ。