…would,

□第八章
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outside

杏里はその日、いつもと違う夢を見た。

――帝人君と紀田君、それに美琴さんの夢、なんて……。

今の現状を思い返して、そちらが夢だったらと思う。
杏里はそうやってすこし悲しい気持ちになりながら、ゆっくりと目を開けた。

しばらく惚けてから、ここはセルティのマンションだったと思い返す。

――お礼を言わないと……。

いつもと違う目覚めだが、身体の奥から聞こえる『愛してる』の声はいつも通りでどこか彼女を安心させた。
そうして、それに気づいて少し悲しくなる。

――こんな声は聞こえない方が正常なのに……
――私は……化け物なんだ。

――望んだらいけない。他の人達と同じ、人間らしい生活なんて……

そう思いながら立ち上がり扉をゆっくり明け広げると――


首の無い化け物が、ワイドショーを見ながら白衣の男と自分の見知った友達と共に携帯ゲーム機の通信に興じていた。
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