来神学園の平和。

□四海同胞
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朝休み。
つまり、登校してから一時限目が始まるまでの空白の時間のことを指す休み時間。
机でなんとなく携帯を弄っていた私に声がかかった。

「おはよ、美琴さん」

「え……あ、折原くんか」

「いい加減それ止めたら?」

「それってどれ?」

「苗字呼び。臨也でいいよ」

「んー……じゃあ臨也くん。
いやもう臨也でもいっかあノリ的に」

「じゃあ俺も美琴って呼ぶことにするよ」

「ご勝手に。
あーあ、眠い……」

机に突っ伏して仮眠でも取ろうとする。
あー……あと五分で一時限目も始まるんだけどね……。

「一橋、いるか?」

「え……?」

顔をあげると精悍な顔の男子と目が合う。

「ドタチン」
「門田くん」

「……え、なにドタチンって」

「俺が考えた渾名」

「ドタチンは止めろっつっただろうが」

「可愛い!」

思わず声をあげた。
この男らしい見た目の門田くんにドタチンって響き、可愛すぎる……!

「可愛いは嬉しくねえよ」

「ね、ドタチンって呼んでいい?」

「駄目に決まってんだろうが」

「ええ、いいじゃないドタチン。
俺も可愛いと思うし、ドタチンってさ」

「臨也お前のそれは完璧面白がってるだけだろ?」

「面白ければいいんじゃないかな?
美琴もどんどん呼んじゃいなよ、ドタチンって」

「わあ、ありがとうドタチン!」

「俺の意思は無視かおい」

しばらくそんな不毛な会話が続いて、私はふと思い出したようにドタチンに尋ねた。

「……そういえばドタチン何か用あったの?」

「あ、ああ。忘れるとこだった。
ほれ、この前借りた小説。ありがとな。
面白かったぜ、これ」

「あ、本当?
じゃあ次巻貸しとくねー」

渡された小説の続きを交換するように手渡したところで一時限目の開始を知らせるチャイムが鳴った。

「やべ、じゃあありがとな。
読み終わったら返すわ」

「了解ー」



 
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