小説

□黄昏の中、ただ赤いものが広がっていた
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その青年はただ黄昏の中
笑っていた

その周りには死体死体死体

原形を保っているものもあるが
あちこちに肉塊だけになったものもある

地面は赤黒く染まりもう元がどんな色だったのかすらもわからない

その青年の髪も肌も衣服もすべてが赤黒く染まっている

「あは、は、ははは!!あははははは!!」

狂ったように笑い続けるその青年の目はもう狂気に狂っていた

そして足元に転がっている人間だったものに目を落とすと

ニンマリと歪んだ笑みを浮かべ

あらわになったその人間の

臓器に手をかけた


グチャ、ブチ


ただただ貪り喰った

赤い地面
赤い空
赤い自分

口から血をだらだらとこぼしながら
それでも青年は笑う

「…あ、ははは…なんだよ…俺は…いつからこんな…化け物に…は、ははは…あははははは!!」

笑いが込み上げてきてたまらない

ただ、その頬に流れる涙だけは
蒼く
美しかった

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