輪廻サイクル

□パーティ
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パーティ

 肌寒い季節。キッチンに人影が二つあった。黒髪でショートヘアーの男性。綺麗な顔立ちで切れ長の目。ジーパンに半袖のカッターシャツと何処にでも居そうな感じだ。
そしてもう一人は、ウェーブがかかった長い黒髪。つぶらな瞳で綺麗な顔立ちと人形のように思わせる。服装は黒のハーフパンツに白のキャミソールだ。二人とも十代半ばほどに見える。
二人は友人の誕生日祝いのためにケーキを作る予定なのだ。女性の手にはデジタル計量機を持ち、小麦粉や卵といった材料が置いてある場所へと運んでいく。一方の男性はレシピ本を見ていた。
「兄さん、材料ってあと何がいるっけ?」
「グラニュー糖だけかな」
「うん。わかった」
 女性は言われたものを取ろうと収納庫へと向かう。男性は不安そうな表情で女性を見ていた。二人は料理をしたことは全くなく、メイドに相談してケーキの作り方を教えてもらっていたのだ。
 しばらくすると女性がグラニュー糖を持って戻ってくる。少し疲れた様子の女性に男性は心配そうな素振りを見せる。
「友妃菜(ゆきな)、どうかした?」
「ううん。収納庫が広くて探すのに時間かかっちゃって」
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